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ゴーロ・マン 『近代ドイツ史 1・2』 (みすず書房)

フランス革命からアデナウアー時代までのドイツ史。二段組で分厚い2冊。しかし全く退屈しない。

政治史を中心にした標準的通史だが、史実の取捨選択、主要人物の個性描写、社会・精神の目に見えない変化の巧みな把握、それらを一貫した物語として組み立てていく技量、何を取っても素晴らしい。

特筆すべきはヘーゲル、ハイネ、マルクス、ショーペンハウエル、ニーチェなどの思想家、文化人を扱った章。難しい概念など何一つ使わないにも関わらず、彼らの個性、思想の特色について明確なイメージを持つことができる。

最初読んだときは、ビスマルクとプロイセン的伝統についての評価が厳しすぎるのではないかと感じたが、再読してそれがありきたりのリベラル的立場からのものではないとわかった。

著者の立場は懐疑的な中道自由主義者とでもいうべきもので、偏狭な思想的立場から史実を裁断するようなものではない。ビスマルクやプロイセン・ユンカーについても評価すべき点は正当に認めている。

芸術作品とも言うべき歴史叙述の傑作で、読み終えた後の充実感は極めて大きい。

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