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辻邦生 『背教者ユリアヌス 上・中・下』 (中公文庫)

教科書で「コンスタンティヌス帝のキリスト教公認後、異教復興を企てた」と一行だけの説明で名前の出る主人公。

どんな暴君なのかと思っていたが、ギボン『ローマ帝国衰亡史』の該当箇所では高潔で有徳な名君として(恐らく最も好意的に)描写されていて驚いた。

そのことに強い印象を受けていたとき、書店でこれを見つけて読んでみた。

コンスタンティヌス大帝の甥として生まれながら、父を謀殺され、虜囚のような待遇を受けつつ、ついに帝位に登りつめたものの、まもなく死を迎える浮き沈みの激しい波乱万丈の生涯が詳細に描かれていた。

読み終わったときには主人公が最も好きな歴史上の人物となっていた。

その後読み返すと本書ではユリアヌスをあまりにも理想化しすぎているような気がしたが、それでも日本語で書かれた最も魅力的な西洋歴史小説の一つであることは間違いないと思う。

厚い三巻本だが、別に予備知識も要らないし、初心者でも読めるので、本書の世界にのめり込み、後期ローマ帝国の雰囲気に浸るのもいいんではないでしょうか。

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