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福田恒存 『私の英国史』 (中央公論社)

著名な評論家の手に成るイギリス史。戦後保守思想の大家である著者がこういう具体的な歴史叙述を残してくれたことが嬉しい。

ちょっと成り立ちが変わった本で、後半部分は、イギリスで出版された、年代記や文学作品の引用だけから成る英国史の翻訳である。前半はその解説として書き下ろされた福田氏自身の英国史。

叙述範囲は古代アングロ・サクソン王国からチャールズ1世までである。

内容は、あくまで国王と宮廷を中心にした政治史にとどまるが、モロワ『英国史』の項でも書いたように、初心者はまず基礎としてそういうオーソドックスな政治史をマスターしないとどうしようもない。

その後で、社会史・文化史・経済史などに向かえばいいと思う(たまに私のように出発点で堂々巡りするようなのもいるが)。

記述は詳しく丁寧で、例えば複雑極まりない薔薇戦争の過程も、附属の系図を何度も見ながらしっかり読み込めば、必ず理解できるようになる。

その他著者らしい鋭い観察と逆説に満ちた、歴史叙述の醍醐味を満喫させてくれる、文句無しの名著。

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