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ジョージ・ケナン 『ジョージ・F・ケナン回顧録 上・下』 (読売新聞社)

これまで最低一度は通読した本だけを紹介してきたが、これは例外。

大型本の上下二巻、二段組で相当の分量なので飛ばし読みしかしていない。

しかしいつか必ず通読してやろうと書棚に置いてある。

著者は去年101歳で大往生を遂げたアメリカの著名な外交官。

対ソ外交を中心に20世紀のアメリカ外交を知る上で非常に役立つ。

端正で明快な文体が著者の知性と人間的品位の高さを感じさせる。

例えば、戦時下のドイツ駐在中、街の女や、反ヒトラー運動に立ち上がって斃れたビスマルク家やモルトケ家の人々との交流の箇所は深い感動を与える。

それと付け加えるならこの人の日本に対する理解の深さは特筆に価すると思う。

アメリカ外交の主流に反して、中国に対する過大評価と日本に対する過小評価を一貫して批判し続けている。

情緒的な親日派というのではなく、アジア政策において日本との協調関係維持を優先することが、アメリカの国益上必須だということだろうが、結果として戦前の日本が置かれた状況について極めて深い理解を示している。

これまで紹介した『アメリカ外交50年』『レーニン・スターリンと西方世界』の他にも邦訳された著作がかなりあるので、図書館などで検索してみてください。

どの著書も含蓄のある内容で、得られるものは非常に大きいはず。

ところで本書は1973年刊でずーっと品切状態。

国際関係論、国際政治学、アメリカ外交史における必読の文献とされながら極めて入手し難く、ネット古書店でも結構な値がついている。

ちなみに版元は読売新聞社。紙面で戦争責任論ずるのも重要でしょうが、こういう歴史を知り考える上で、必読の書物を常に手に入るようにしておくのも大切なんじゃないかと思うんですが、如何でしょうか、ナベツネさん。

(07年7月11日追記)

読みました。思ったほど長大ではなく、非常に面白く読めた。これはやはり一度は通読すべき本だと思います。

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