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ジョン・マクマリー 『平和はいかに失われたか』 (原書房)

ジョージ・ケナン『アメリカ外交50年』の極東関係の章で引用されていた、戦前アメリカの現実主義的外交官の覚書に編者のウォルドロン教授の長文の解説を付したもの。

ワシントン体制を崩壊に導いたのは日本というより、既存条約の性急な否認と破壊を繰り返した中国の革命外交とそれに迎合したアメリカ政府であり、満州事変はその帰結であったと主張している。

この視点に立てば、幣原外交と田中外交の評価も大きく変わる可能性がある。

必ずしも著者の主張に納得しなくても、じっくり通読すれば、戦前の東アジア情勢について重要な一面を知ることができる。

なお本書と同じような問題意識に貫かれた本として、クリストファー・ソーン著『満州事変とは何だったのか 上・下』(草思社)があるが、関係国の外交文書や外交官の覚書、回顧録を駆使した詳細なものであり、自分は上巻の三分の二くらいで挫折してしまった。興味のある方はどうぞ。

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土肥恒之 『よみがえるロマノフ家』 (講談社選書メチエ)

皇帝の治世を忠実に描く、オーソドックスで読みやすいロシア通史。

ピョートル大帝やエカチェリーナ2世のような有名皇帝よりも、イヴァン雷帝死後の動乱時代や、ピョートル大帝死後の「女帝時代」のようなマイナーな治世の記述がありがたい。

短いので、ざっと読んでロシア史の基礎をつくることができて便利。

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高坂正堯 『時代の終わりのとき』 (中央公論社)

『外交感覚』の続編。1985~90年までの時評集。

共産圏崩壊と冷戦終結という国際政治の激しい動きへの的確な観察が光る。

それと同時にプラザ合意やアメリカの「双子の赤字」など国際経済の問題についても、私のような経済音痴にも非常にわかりやすく説かれているのが印象的。

『外交感覚』を含め、高坂氏の思考のエッセンスを吸収するには手頃な本。

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小倉貞男 『ドキュメント ヴェトナム戦争全史』 (岩波現代文庫)

日本の敗戦から中越戦争までのヴェトナム現代史を北ヴェトナムおよび「解放戦線」関係者へのインタビューを多く交えながら構成した本。

それで岩波書店刊と来れば、一部不安になる向きがあるかもしれないが、別に変な偏りは無い。

北とヴェトコンに批判的というわけでもないが、南ヴェトナムの内戦が終始北の主導で遂行されたこと、テト攻勢において南の都市住民の自発的蜂起がほとんど見られなかったこと、南北統一後の急激な社会主義化が多くの弊害をもたらしたこと、などもきちんと書いてる。

やや読みにくい面もあるが、通読する価値あり。

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アルベルト・シュペーア 『第三帝国の神殿にて ナチス軍需相の証言 上・下』 (中公文庫)

ヒトラー政権の中枢にいた人物による回顧録。

もともと建築家として引き立てられた人物なので、前半三分の一くらいまで、そちら関連の記述が延々と続くのはやや閉口だが、その後は非常に面白くなる。

ドイツ現代史の参考書として非常に有益な本。

ヒンデンブルクと彼の政治的友人の多くが新政府に期待した君主制への再帰をヒトラーは一度も本気で考えたことはなかった。それについて彼は次のような意見を述べたことがあった。「ゼーフェリングのような社会民主主義者の大臣連に私はその後も年金を与えてやった。彼らについてどう考えようと勝手だが、一つだけ功績を認めてやらなければならない。それは彼らが君主制を廃止したことである。これは大きな進歩だった。そのおかげで我々にはじめて道が開かれたのだ。それなのに今になってまた君主制を取り入れられるかね。私に権力を分けろだって。イタリアを見たまえ。一体奴らは、私がそんなに馬鹿だと思っているのかね。君主制というのはいつだってその最初の忠臣には冷たいものさ。ビスマルクを思い出せばよい。私はそんなものにだまされない。ホーエンツォレルン家が今どんなに愛想よくしたって。」

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『詳説世界史』 (山川出版社)

世界史の教科書とか持ってますか?

私も含め、卒業とともに棄ててしまった人がほとんどではないかと思われるが、やはり一冊手元に置いておいたほうがよいと思う。

さまざまな本を読んだとき、その時代や史実を教科書ではどう簡略化して書いていたのかを確認すると、大いに参考になることが多い。

別に山川出版でなくとも、三省堂や帝国書院など同程度に詳しい記述のものがあるが、本書は大型書店の参考書コーナーで置いていることが多いので、手に入れやすい。

教科書はネット書店でも扱いがなく、出版社の直販も無い場合、入手困難なので、一般書店で買えるのは助かる。

私が持っているのは2002年発行で、江上波夫・林健太郎氏らが執筆し、数十年間改訂を重ねたもの。

山川出版社のHPを見ると、今は執筆者が完全に変わって、記述も一新されているようだ。

どれか一冊所持するとすれば、シェアの高いこれにするのが無難だと思う。

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林健太郎 『世界史と日本』 (新潮社)

総合雑誌などに書かれた時論を集めたもの。かなり古い本だが、ネット古書店などでは割と簡単に見つかると思う。

林氏はこの手の本を多数出されているが、1965年刊のこれが一番面白い。

ヴェトナム戦争と中ソ対立を背景にした国際政治論、社会主義・マルクス主義の再検討、戦後史の捉え方、世界史上の日本の位置の四つのテーマについて、明晰極まる文章で、実にわかりやすく論じている。

ざっと読むだけで、多くのものが得られる良書。

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神谷不二 『朝鮮半島で起きたこと起きること』 (PHP研究所)

1960年代末から90年代初頭に書かれた論文を集めた本。

本書に90年代中盤までの文章を増補した『朝鮮半島論』というのも出ている。

特に朴政権の時代に書かれた論文の精密さと的確さに深く感心してしまう。

結果として韓国現代史の最良のテキストになっている。

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高坂正堯 『外交感覚』 (中央公論社)

1977~85年の間に新聞に月1回掲載されたものを中心とする外交評論集。

その間の国際政治評論として優れているのはもちろん、著者のすべての作品に共通する歴史的アプローチのため、他の時代についても参考になるところが非常に多い。

短文の集まりなので、暇なときパラパラ眺めているだけでも有益。

中道リベラル派としての豊かなバランス感覚に深く感心する一冊。

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司馬遼太郎 『殉死』 (文春文庫)

今日は『坂の上の雲』の付録のような小品を。乃木希典の生涯を描いた、ごく短い作品。

本書の乃木像には発表当時から福田恒存氏はじめ相当な批判があったようだし、自分もその通り受け取っているわけでもない。

しかしそれでもある特異な人物の生き方を活写しており、どうしても一種の感動を抑えることができない。

こういう感情を起こさせる人は、やはりある種の「偉大さ」があったのではないだろうか。

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ディック・ウィルソン 『周恩来 不倒翁波瀾の生涯』 (時事通信社)

毛沢東と蒋介石関連の著作と共に一冊くらいは周恩来の伝記を。

原著が出たのは1984年。改革開放政策が完全に定着し、周の評価が最も高かった時期か。

毛との対比で、中国共産党内で、最も穏健で現実主義的で人間味のある人物として描かれている。

長征や西安事件前の記述も詳しいのが貴重。通読する価値有り。

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ステファヌ・クルトワ、ニコラ・ヴェルト共著 『共産主義黒書 ソ連篇』 (恵雅堂出版)

20世紀共産主義による人的被害を克明に綴った書。

最近『コミンテルン・アジア篇』も出たが未読。

性質上データ的記述が多く、やや冗長な部分もあるが、革命からスターリンの死に至るまでのソ連史として重要な意味を持つ書物と思われる。

人民主権と平等主義と社会革新を極限まで追及した急進的民主主義が、君主制や貴族制の堕落が生み出したのとは桁違いに残忍な暴政を齎したという事実は何度でも深く再考すべき教訓だろう。

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ギルバート・チェスタトン 『正統とは何か』 (春秋社)

20世紀初頭に書かれたキリスト教的伝統擁護の書。

全編にわたって繰り広げられる逆説とユーモアによる伝統精神擁護のレトリックの見事さにほとほと感心してしまう。

何の予備知識も要りません。平明極まりない記述ながら、今までのモノの考え方を引っくり返すほどの力を持つ書物。

是非一読をお勧めします。

文明の最古の闇に帰って訪ねてみるがよい。文明の根は、何か聖なる石のまわりにからみつき、あるいは聖なる井戸のまわりをめぐっているのがわかるだろう。人びとはまずある一つの場所を尊崇したのだ。その場所のために栄誉が得られたのは実はその後のことなのである。人びとはローマが偉大であるからローマを愛したのではない。ローマは人びとがローマを愛したから偉大となったのだ。

十八世紀に勢力をふるった社会契約説は、今日では大いに批判の的となった。(もっともこの批判そのものにも大いに批判の余地がある。)社会契約説の意味するところが、ただ、すべての歴史上の統治の背後には諒解と協力の観念がある、ということだけであるのなら、その限りにおいてはこの説の正しいことは明らかである。

しかしもしその意味するところが、明確な利害関係の自覚から直接秩序と倫理が作られた、というところまで進んでくると、その限りではこの説は確実に誤っていると言うほかない。道徳の起源はそんなところにあるはずがない。

一人の人間が相手に向かって、「お前が俺をなぐらなければ俺もお前をなぐらない」と言ったなどという、そんな取引があった形跡はどこにもないのだ。ただ二人がお互いに、「われわれは聖なる場所ではなぐり合いはすべきでない」と言った形跡は厳として存在している。宗教を守ることで道徳が得られたのである。

人びとはわざわざ勇気をつちかったのではない。彼らは神殿のために戦い、気がついてみると勇気を持っていたまでである。彼らは清潔をつちかいはしなかった。ただ祭壇の前に立つために身を清め、気がついてみると清潔になっていたのだ。

たいていのイギリス人が共通に知っている太古の歴史の資料としては、旧約聖書に描かれたユダヤ人の歴史だけだが、これだけでも太古の事実を判断するには十分だろう。十戒というものも(事実上全人類に共通の戒律であるけれども)、要するに軍事上の命令にほかならなかった。つまり、砂漠を越えて聖なる箱を守って行くために発布された軍律だったのである。秩序の破壊が悪とされたのは、それが聖なるものを危険に陥れるからであった。そして、神のために休日を定めた時、彼らは人間のためにも休日を作る結果になったことを知ったのである。

・・・・聖職者が世界に暗闇と悪意をもたらしたという主張であるが、少なくとも私自身がつくづく世の中を眺めても、要するにそんな事実は一つも見当たらないのである。ヨーロッパの中で、いまだに聖職者が影響力を持っている国々というのは、暗いどころか正反対で、いまだに野外で歌い踊り、色鮮やかな衣装をつけ、芸術を楽しむまさにそういう国々にほかならぬ。

カトリックの教義や戒律は壁だと言うのなら壁としてもいい。しかしそれは遊び場を守る壁なのだ。キリスト教こそは、異教の快楽を維持してきた唯一の宗教である。たとえばこんな比喩はどうだろう。海の中に、断崖に囲まれた小島があり、島の上は平らな草原になっていて、そこで子供たちが遊んでいる。断崖のへりに壁がぐるりと立っている間は、子供たちは心の底から奔放にふざけまわり、どんな子供部屋もかなわないほどやかましく遊んでも安心だった。ところがその壁が急に壊され、断崖の危険がむき出しになってしまった。子供たちは海に落っこちはしなかったけれども、昔の友だちが彼らのところへ帰って来てみると、子供たちはみな、恐ろしさのあまり島の真中に身を寄せあってかたまっていた。彼らの歌声はもう絶えて聞こえることはなかったのである。

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李志綏 『毛沢東の私生活 上・下』 (文春文庫)

10年あまり前に出版されかなり話題になった本の文庫版。毛沢東の主治医による回顧録。

毛の個人生活の描写と当時の政治情勢の解説が絶妙に組み合わさっていて、非常に面白い物語に仕上がっている。

訳者あとがきによると背景説明の部分はやはり編者の手が入っているそうだ。

だがそのおかげで非常にわかりやすくなっているのでマイナスとは思えない。

中国現代史の参考文献として是非読むべき本ではないだろうか。

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犬養健 『揚子江は今も流れている』 (中公文庫)

日中戦争勃発後、和平運動に努力した汪兆銘・周仏海・陳公博・高宗武(文中では仮名・唐紹武)らとの交流を描いた本。

以前紹介した『人我を漢奸と呼ぶ』はかなりの部分を本書に拠っているのがわかった。

会話文の多い迫力ある描写で全く退屈せず読み通すことができた。

自らの信念に従いあえて厳しく危険な道を選んだ汪兆銘派の人々に同情を禁じえない。

著者は犬養毅の息子で戦後法務大臣などを歴任。

ちなみに和平運動の日本側責任者として本書に頻繁に登場する影佐禎昭・元陸軍中将は谷垣禎一財務大臣の母方の祖父にあたるそうな。

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武田龍夫 『嵐の中の北欧』 (中公文庫)

フィンランド、スウェーデン、ノルウェー、デンマークの北欧四ヵ国の第二次世界大戦史。

独ソ両大国に挟まれた国々の苦闘の歴史をコンパクトな叙述でわかりやすく描いている。

ソ連に侵攻されたフィンランド、ドイツに蹂躙されたノルウェー・デンマーク、中立を保ち得たものの屈辱的な態度を強いられたスウェーデンのそれぞれの歴史がよく理解できる。

大戦のあまり知られていない面を知るのに非常に有益な書物である。

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間野英二 『中央アジアの歴史 (新書東洋史8)』 (講談社現代新書)

内陸・中央アジアもこの一冊だけでお茶を濁しておく。

東西交渉史の舞台としてだけではなく、中央アジアの主体性を重視した通史。

標準的叙述で手ごろ。

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金素雲 『朝鮮史譚』 (講談社学術文庫)

『三韓昔がたり』の続編で、高麗・李朝の歴史。

前著よりやや対象読者年齢が上がり、一般の歴史書に近くなっている。

といってもあくまで読みやすい史話・挿話集であることに変わりない。

こういう体裁とレベルで、できるだけ詳しく通史を物語ってくれると嬉しいのだが、長大なものになるし、それは望みすぎか。

朝鮮史入門書というと、無味乾燥だったり、読むに耐えないイデオロギー的なものが多いが(例としては講談社現代新書の「新書東洋史」に収録されていたもの。疑いも無くあらゆる意味で「最悪」と断言させてもらう)、本書はかなり良質だと思う。

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金素雲 『三韓昔がたり』 (講談社学術文庫)

『三国史記』から題材を採った、高句麗、百済、新羅の史話・逸話集。

網羅的では全くない、少年向け歴史物語といったところだが、初心者としてはこのくらいのレベルから始めても良いのではなかろうか。

もともと戦時中著者が日本人名で出版したものをそのまま収録したものだが、解説で小堀桂一郎氏が言う如く、別に拘らなくてもよいであろう。

ただ日本との関係で、広開土王(好太王)についての記述が皆無であるのなら、それは残念ではある。

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志水速雄 訳 『フルシチョフ秘密報告 スターリン批判』 (講談社学術文庫)

ソ連史の一級資料だが、短いし読みやすいので、ざっと一読しておくと良い。

ソ連の政治とスターリンの恐怖政治の一端がよく理解できる。

訳者の割と長めの解説もわかりやすくて有益。

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鈴木静夫 『物語フィリピンの歴史』 (中公新書)

マゼラン来航からアキノ政権までのフィリピン通史。

ページ配分が適当で全般にわたって適度な知識を得ることができる。

それと歴史解釈もバランスが取れている。

植民地勢力たるスペイン、アメリカに批判的なのは当然として、前者では先住民保護に尽くした国王や聖職者、後者では自治権拡大を認めた政治家についてもきちんと触れており、公平だと思われる。

先の大戦に関しても、対日協力者を一律に断罪するような真似はしていない。

ただその割りに戦後のフク団についての評価が甘いのが気になる(とはいえ、それも有力幹部のルイス・タルクが失脚・投降するまでだが)。

全般的に見てかなりすぐれた入門書。買いましょう。

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小倉貞男 『物語ヴェトナムの歴史』 (中公新書)

かなり詳しく貴重なヴェトナム史入門書。

ただ載せてある地図がやや貧弱で本文中の地名の位置関係がわかりにくい。

全くの初心者が読むにしてはややわかりにくいところもある。

また人物名は基本的にヴェトナム語のカタカナ表記で漢字は初出の際に併記されるだけである。

いや、確かに変なんですよ、ヴェトナム人の名前を漢字表記してそれを日本語読みするのは。

しかし例えば李朝の太宗のことを「リ・タイ・トン」と書かれるとちょっと・・・・・・。

(前近代においては)漢字文化圏ということで、朝鮮史と同じく、ヴェトナム史でもファン・ボイ・チャウが出てくるあたりまでは漢字表記を主にしていいんじゃないでしょうか。

文句ばかり言いましたが、この『物語~の歴史』シリーズではかなりの良書であることは間違いないので、是非一読をお勧めします。

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牟田口義郎 『物語中東の歴史』 (中公新書)

イスラム史の概説というのもなかなか良いものが無いなあと思っていたところで、手に取ったのがこれ。

本書の長所は対象範囲の思い切った限定。前半はアラビア・イラク・シリア、後半はエジプトに重点を置いて集中的に叙述している。

よってブワイフ朝やサーマーン朝は影も形もありません。

イスラム史というとなにしろあまりに広範囲にわたるのだから、本書のように焦点を絞ってさまざまな人物やエピソードを記述するのが正解だろう。

ただ十字軍をヨーロッパの野蛮な侵略と批判する一方(そのこと自体は全く構わないのだが)、イスラムの膨張に関してはその「寛容さ」「正当性」をやたらに強調する姿勢は、個人的には疑問である。

とは言え気軽に読めて、まとまった史実や人物像を得られる貴重な入門書であることに間違いはない。

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宮城谷昌光 『長城のかげ』 (文春文庫)

著者は古代中国を舞台にした歴史小説を多数書いているが、正直あまり読書欲をそそられなかった。

本書は比較的時代が下がって、項羽と劉邦の時代を描いたもの。

この時代が個人的に好きなこともあって読んでみたが、そこそこ面白い。

著作が多いので、図書館や書店で他のものもざっと眺めてみてもいいかもしれない。

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福田和也 『地ひらく 上・下』 (文春文庫)

石原莞爾の伝記。

一応の小康状態と工業化の発展をもたらした満州事変と、泥沼化と日米開戦を招いた日中戦争を厳格に区別し、前者の再評価を促す立場から叙述されている。

これには相当議論があるだろうが、興味深いことは間違いない。

上巻の石原の前半生の部分はややタルいが、その後伝記的記述の合い間に挟まれる、アジア史とヨーロッパ史の描写と著者独自の解釈が非常に面白い。

東アジア現代史のテキストとして、通読する価値大。

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産経新聞取材班 『ルーズベルト秘録 上・下』 (扶桑社文庫)

『毛沢東秘録』に比べれば、面白さは相当落ちる。

ただ内政にも割とページを割いて説明しているので、貴重と言えば貴重。

ざっと読んでおいて損は無い。

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藤沢道郎 『物語イタリアの歴史 Ⅱ』 (中公新書)

1巻が素晴らしすぎたので、これはもう一つか。

NHK語学テキストに連載されていたもので、前巻よりかなり短く、まとまりがない気がする。

とは言え読書リストから外すのはもったいないと思わせるだけの内容を持っている。

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菊池良生 『神聖ローマ帝国』 (講談社現代新書)

手ごろでわかりやすいドイツ史。

この種の新書版歴史書にありがちな、退屈な平板記述でないので、初心者でも史実が頭に入りやすい。

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セバスチャン・ハフナー 『ドイツ現代史の正しい見方』 (草思社)

著者の歴史エッセイ集から抄訳として最近出された本。

相変わらず面白いのだが、さすがに他の著作との重複が目立つ。

いっその事全訳本を出してくれないだろうか。

きっと売れると思うのだが。

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リチャード・パイプス 『ロシア革命史』 (成文社)

マーティン・メイリアの著作によって、著者が帝政ロシアとソヴィエト・ロシアの「継続性」を重視する立場と聞いていたので、そのような主張を疑わしく思っていた自分は、本書の存在を知りながら敬遠していた。

しかし一度通読してみると、これが最高に面白い。

最初書いたような歴史観はさほど表面に出ず、正統派全体主義論の立場で、20世紀初頭からレーニンの死に至るロシア史を詳細にかつ興味深く叙述している。

メイリアの『ソヴィエトの悲劇』より叙述範囲は短いが、その分個々の史実を詳しく検討・記述し、有益な通史として読むことができる。

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