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宮崎市定 『東洋における素朴主義の民族と文明主義の社会』 (平凡社 東洋文庫)

やたら長いタイトルのこの本、戦前に宮崎氏がはじめて書いた中国通史。戦後書かれた「東洋的近世」を同時収録。

古典ばかりの東洋文庫に著作が生前に堂々と収録されるんだから、さすがです。

中国史を遊牧民と農耕民との相克として捉えるのは定番だが、本書はそれを「素朴主義」と「文明主義」という人生観・生活観の対立として叙述していく。

岩波の『中国史』とはまた違った面の面白さがあるとは思うのだが、やや読みにくい文章。

異民族の漢字表記にルビが振ってないのが、私程度の読者には不親切である。

推測できるところもあるが、「これなんて読むんだ?」と思った人名もあった。

なお最後の方で「中国史において文明主義の社会が停滞したとき、素朴主義の進入が中国に刺激を与え活性化と再生の契機になった、そして日本も素朴主義民族であり云々」といった記述が見られるが、解説でも書かれているが、これを「時局追従」の言と見做すのはやはり皮相に過ぎるだろう。

少なくとも私はそのような見方はしない。

「東洋的近世」は『アジア史論』(中央公論新社)にも収められているので読むことが出来る。

そろそろ『素朴主義~』だけ単独で岩波文庫あたりに入れてもらえませんかねえ。

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