« レオポルト・ランケ 『強国論』 (岩波文庫) | トップページ | 高坂正堯 『大国日本の世渡り学』 (PHP文庫) »

陳寿 『正史三国志 5 蜀書』 (ちくま学芸文庫)

明代に完成した小説『三国志演義』の元となった、西晋時代に書かれた正史『三国志』の一部である。

中国正史のうち、他をはるかに引き離す、ずば抜けた傑作である『史記』と言えども、「列伝」だけでなく、「本紀」「世家」「書」「表」含め、全巻を読破するのは素人には到底不可能(だと思う)。

まして『漢書』『後漢書』や他の正史に至ってはたとえ全訳があっても絶対無理だろう。(『漢書』はちくま学芸文庫に全訳あり。)

だがこのちくま学芸文庫で全8巻の『三国志』についてはぱっと見、可能なように思える。

少なからぬ人が中国史の他の時代とは段違いに細かな知識を持っており、脇役に過ぎない武将・文官についてもよく知っている。

実は私もそう思って、通読に挑戦しようと全巻買い込んだのだが、やはり無理でした。

余程の三国志マニアが演義での人物像が正史ではどうなっているのかを逐一知るという強い目的意識を持って取り組まないと到底無理です。

結局読んだのはこの「蜀書」の部分だけ。

正史においてはあくまで後漢を継ぐ正統王朝は魏であり、後世のような蜀漢の理想化は生じていなかったのは知っていたが、それでも本文をじっくり読んだ感想は、劉備というのは実に魅力的な人物だったのだなあということであった。

陳寿の劉備や諸葛亮への敬慕の念が隠しても伝わってくるような文章であった。

バラで買える本だし、この5巻だけ買って読むのも良し、あえて全巻揃えて事典のように使って暇なとき面白そうなところだけ読むのも良いんじゃないでしょうか。

|

« レオポルト・ランケ 『強国論』 (岩波文庫) | トップページ | 高坂正堯 『大国日本の世渡り学』 (PHP文庫) »

中国」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。