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ヘンリー・キッシンジャー 『キッシンジャー激動の時代 1 ブレジネフと毛沢東』 (小学館)

『キッシンジャー秘録』の続編となる回顧録。

1973年の国務長官就任から翌年のニクソン辞任まで。

全3巻だが私が所持していたのは第1巻のみ。

『秘録』と同じく通読はしておらず、飛ばし読みだけだがそれでも得るところはあり、かなり面白かった。

2、3巻は第四次中東戦争とその際の石油危機の話が中心で、国際経済の分野に入るので(私にとっては)興味が薄れた。

多くの図書館で置いてあると思うので、暇があれば借りてみてください。

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K・C・ホイーア 『リンカン その生涯と思想』 (岩波新書)

誰でも名前を知ってる超有名人のリンカーンだが、では日本語で読める適当な伝記はと言われると戸惑ってしまう。

カール・サンドバーグ『エブラハム・リンカーン 全3巻』(新潮社)が定評のあるものらしいが、古くて手に入りにくいし、長くて初心者向きとは思えない。

そこで古本屋の格安コーナーに転がってた本書を買ったのだが、どうも良くない。

アメリカ人学者が同国人向けに書いたものらしく、新書にしては程度が高い。

奴隷制度の論争や妥協についての説明が非常に分かりにくかった記憶がある。

これを再読するより、別の本探したほうがよさそうですね。

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ジェイムズ・ジョル 『ヨーロッパ100年史 全2巻』 (みすず書房)

ドイツ統一から100年間のヨーロッパ史。

教科書的な詰まらない記述ではなく、生き生きとした物語風の叙述を心がけた本。

と思うのだが、あまり強い印象は残っていない。

心底面白いとまでは思わなかった。

10年近く前、新刊定価で買ったんですが高かったですね。

そのことが一番印象に残ってたりする。

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岡崎文夫 『隋唐帝国五代史』 (平凡社 東洋文庫)

『魏晋南北朝通史 内編』の記事で、本書を「読んだかどうかすら覚えていない」と書きましたが、よく考えたら読んでますね。

読んだことは間違いない。ただ内容はほとんど頭の中に残っていない。

ちょっと古い本ですが、政治史を中心としたオーソドックスな記述なので私でも通読できたんでしょう。

私にとっては少し程度が高いですが、いい本だとは思いますんで、機会があればどうぞ。

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ハロルド・ニコルソン 『外交』 (東京大学出版会)

1930年代初版の、かなり有名な古典的著作。

それほど長くなく、比較的読みやすい。

英仏独伊の外交手法分析など興味深い所もあるが、期待していたほどの面白さはなかった気がする。

しかし一種の定番本だし、読んでおいて良かったとは思う。

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エドワード・ギボン 『ローマ帝国衰亡史 9』 (ちくま学芸文庫)

この巻は冒頭で南イタリアとシチリアにおけるビザンツ・イスラム・ノルマンの三つ巴の抗争と次章でのセルジューク・トルコの台頭と聖地イェルサレム占領が記述された後、十字軍の歴史がその主題となります。

しかしセルジューク朝の叙述は面白いですね。『衰亡史』後半はビザンツ史そのものより、イスラム諸王朝の歴史の方がはるかに面白い。

十字軍史も出色の出来です。教科書の無味乾燥な記述に肉付けする上で、これ以上ないほど楽しく興味深い叙述です。

啓蒙思想の子たるギボンは十字軍にやや批判的ですが、かといって敵手のイスラム圏を理想化するような現代の政治的偏見にも当然無縁です。

個人的にはこのくらいのスタンスが一番抵抗なく読めるので、非常に良かったです。

第四回十字軍とビザンツ帝国の一時的滅亡は特にページを割いて扱われ、ラテン帝国とニケーア帝国の戦い、コンスタンティノープル奪回とビザンツ帝国復興、それと同時に成立したビザンツ最後の王朝であるパラエオログス朝の歴史も詳しく記述されます。

しかし以上各国の統治者の系譜をいちいち暗記できるかというとかなり苦しいですね。

読んでる途中はああ面白いで済みますが、一週間で忘れてしまいそう。

本書の前半でも7巻で出てきたビザンツ皇帝がポツポツ登場するのですが、ほとんど忘れてました。いちいち7巻を引っ張り出して末尾の皇帝在位表で確認する羽目になりました。

私の物覚えが悪いのは事実ですが、まあ仕方ないのかも。

事前の予想ではこの巻はちょっと苦しいかなと思ったのですが、意外と楽に読めました。

もし無人島に流されるとしたら、持っていく本はこの『衰亡史』に限りますね。

全10巻通読する頃には最初の方は綺麗サッパリ忘れてますから、永久に暇潰しできます。

さて、残り一巻気合を入れて読んで、近いうちにまた記事にします。

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司馬遼太郎 『草原の記』 (新潮文庫)

あるモンゴル人女性の半生を軸に、モンゴルと中国の歴史と日本の現代史を描いた史的エッセイ。

確かにある種の感動を与えてくれる本ではあるが、まとまった史実を多く得られる本ではない。

まあそもそも本書にそういうことを求めるのが間違いなのだろうが。

しかし個人的には多くの人が褒めるほどにはいい本とは思わなかった。

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ヘレン・ミアーズ 『アメリカの鏡・日本』 (角川学芸出版)

終戦直後にアメリカ人学者によって書かれたGHQの占領政策および戦前のアメリカ政策批判の書。

この本を日本人が自国弁護のために用いるのはあるいはフェアではないかもしれないが、「アメリカの正義」をその絶頂期にこうまで徹底的に相対化した文章は凄いと言うほか無い。

一度は読んでみた方がいい本だと思います。

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アルフレッド・マハン 『海上権力史論』 (原書房)

大型書店の世界史関連の棚をボーっと眺めていたとき、偶然見つける。

戦略理論家としてのマハンの名は知っていたが、このような訳書が出ていたことは全く知らず、感激して即購入。

しかし内容は微妙。世界史上の覇権闘争において制海権の確保が決定的役割を果たしたと主張する歴史論なのだが、読むのに手間がかかるわりに面白くない。

私はこの種の戦略論が好きなほうなのだが、本書は読み通すのに苦労した。

抄訳なのがかえって良くないのか。再読すべきだなと思う本の一つである。

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外川継男 『ロシアとソ連邦』 (講談社学術文庫)

確か元は講談社旧版「世界の歴史」シリーズの一冊で、その文庫化。

ロシア史の標準的テキストとして適当かと思い、通読。

読了後の感想は・・・・・「普通」。あんまり面白くない。

最近こんなのばっかりですね。

最近記事にする本は、読んだのち売ったり処分したりした本がほとんどなので、勢い自分の中の評価は高くないものが多い。

心底面白いと思った本は各カテゴリの最初の方ですでに書いてしまってるので(一部例外あり)、なかなか強くお勧めしたいという本がない。

まあこれも途中で投げ出すほどでもないので、機会があればどうぞ。

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森島守人 『真珠湾・リスボン・東京 続一外交官の回想』 (岩波新書)

『陰謀・暗殺・軍刀』の続編。これも1991年復刊されたとき購入。

しかし内容は・・・・・覚えていない。

著者は第二次大戦中はリスボンの日本大使館に駐在。スペインのフランコと並ぶ独裁者であるポルトガルのサラザールに著者が意外なほど好意的だったことだけが印象に残っている。

一度、図書館で借りてパラパラ眺めてみるかな。

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中嶋嶺雄 編 『中国現代史』 (有斐閣)

私が読んだのは1981年初版の旧版である。今は1996年刊の新版が出ているようだ。

アヘン戦争以後から改革開放政策確立までの中国史。

編者が中嶋嶺雄氏だし、しっかりした内容だろうと思い購入。

しかしどうも面白くない。

多数の執筆者が分担して各時代を書いているのだが、特筆すべき点が無い。

可も無く不可も無くといった文章が続き、最後の中嶋氏の中華人民共和国史に至る。

ここはさすがに手堅いが、中公新書の『中国 歴史・社会・国際関係』とは別にあえて読む必要があるかと言うと微妙。

私の感想が偏っているのかもしれないが、今まで再読の機会が無かったので何とも言えない。

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エドワード・ギボン 『ローマ帝国衰亡史 8』 (ちくま学芸文庫)

本巻の中心テーマはイスラムの勃興で、冒頭から四分の三のページがそれに充てられています。

感想ですが・・・・・・面白い!! ものすごく面白い。その一言に尽きます。

マホメットの宣教からアッバース朝の衰退と分裂までのイスラム史がこれ以上ないほど興味深く叙述されている。

著者のギボンはアラビア語、ペルシア語はじめ東方諸言語を知らず、ヨーロッパ語に訳された史料だけを材料に記述せざるを得なかったのだが、ギボンのストーリー・テラーとしての才能がそういう不利な要因を完全に克服している。

歴史学の専門化が全く進んでいなかった200年前に二次史料に基づいて書かれた以上、今の目から見て不完全さは免れないとしても、面白いものは面白い。

初心者向けイスラム史概説としては一番いいんではないだろうか。

これまで何度か書いてきたように、素人の歴史愛好者が各地域の歴史を学ぶ際、一番初歩的な段階で何より必要とするものは、本書のような「人物中心に叙述された物語風の政治史」である。

時代遅れだろうが、レベルが低かろうが、最初の見取り図としてその種の政治史の必要性は不変のはず(その次の段階に進まず[進めず]同じ所をうろうろしてる私のような人間もいるが、それは自業自得でまた別の問題です)。

現在の研究者の方々も馬鹿にされるのを恐れず、自らの研究分野で一冊はそういう入門書を書いて頂きたいです。

さて内容ですが、マホメットの堅信と偉大さおよびその狂信がもたらした弊害をともに認めながら、初期ムスリム共同体の発足と発展をギボンの筆は華麗に描いていきます。

第四代カリフ、アリーの謙虚な人柄が好意的に描かれた後、彼とその息子が巻き込まれた悲劇と、イスラム揺籃期にクライシュ族内で最もマホメットに敵対的だったアブ・スフィアンの息子ムアーウィアがウマイヤ朝をひらく事態が記されます。

以後ペルシア、シリア、エジプト、北アフリカ、スペインへのイスラムの大膨張の章が続きます。

ペルシアに関しては高校世界史でもお馴染みのニハーヴァンドの戦いはごく簡単に触れられるだけでむしろその前段階のカデーシアの戦いが重視され、最終的にペルシア王子の唐王朝への亡命によって、ギボン『衰亡史』においてこれまでローマのライバルとして何度も登場してきたササン朝ペルシア帝国は永久に退場します。

他地域への侵攻については、特にシリア征服者で「神の剣」と呼ばれた初期イスラムにおける最大の猛将ハリドの活躍が印象に残ります。

大征服の後、アッバース朝革命が成功しますが、ハールーン・アッラシードとマームーンによる短い盛期を経て、かつてのローマを思わせるような分裂と蛮族の傭兵による弱体化で衰退していきます。

残り四分の一に入ると、まず10世紀ごろのビザンツ帝国の概況があります。さほど面白くないのでさっと済ませて次の章に行きます。

するとまたパウロ派という異端の話で、前巻のネストリウス派・単性論よりマイナーでがっくりですが、ほんの20ページほどですのでそれほど辛くありません。

最後はブルガリア、ハンガリー、ロシアの起源と発展の章でこれはまあまあ面白いです。

結論。この巻は楽でした。全体的に見て『衰亡史』後半の白眉と言ってよいほど面白い。残り2巻もこの調子で行きたいもんです。

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曽村保信 『地政学入門』 (中公新書)

地理学と軍事学と国際政治学をごっちゃにしたような学問である地政学の入門書。

わりと有名な本らしく、よく名前を挙げられており、評判も良い。

私は正直それほど面白いとも思わなかったが・・・・・。

まあ現代史の参考文献として読んでおくのも悪くないでしょう。

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尾鍋輝彦 『カイゼルの髭 (大世界史19)』 (文芸春秋)

またまた文春「大世界史」シリーズ。(たぶん)ドイツ統一から第一次世界大戦勃発までが記述範囲だったと思う。

数日前の『自由と統一をめざして』と同じく、ごく普通の出来。

ただ、ビスマルクの同盟外交の経緯が詳細かつわかりやすく説明されていた印象があるので、それが一番の取り柄か。

読めばそれなりに役に立つところがあると思います。

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高坂正堯 『世界史を創る人びと 現代指導者論』 (日本経済新聞社)

1965年刊で高坂氏のかなり早いころの著作。

ケネディ、フルシチョフ、毛沢東など当時の政治指導者のごく簡略な伝記から成る本。

高坂氏の他の著作と比べて、正直さほど斬新な見方や考察が得られるわけではないが、一読すればそれなりに参考になる。

新書版で短いので通読も楽。

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吉田寅 他・編 『世界史のための文献案内』 (山川出版社)

図書館で偶然見つけて借りたのだが、これは非常に有益である。

世界史の各分野ごとに相当数の日本語文献が挙げられており、一部に簡略なコメントが付されている。

やる気の出ないときパラパラと眺めてると、読書意欲を刺激されて良い。

さほど高くもないし、手元に置いておくと便利。

ただし「この本あったら、あの変なブログなんて見る必要ないな」とか身も蓋も無いことは言わないでください。

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矢田俊隆 『自由と統一をめざして (大世界史17)』 (文芸春秋)

「大世界史」シリーズの19世紀ヨーロッパ史。

結論を言うと、面白くないです。

ごく平凡な記述で特筆すべき点は無し。

このシリーズの現代史の執筆陣は、衛藤瀋吉・林健太郎・野田宣雄・猪木正道・高坂正堯と例えようもないほど豪華で素晴らしいのだが、他の時代は当たり前だが玉石混交ですね。

ただそもそも読む前に期待しすぎだったのかもしれないし、本書も悪いと言うほどでもないのかもしれない。

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エドワード・ギボン 『ローマ帝国衰亡史 7』 (ちくま学芸文庫)

前巻からちょっと間が空きましたが挫折はしておりません。

ユスティニアヌス1世死後、帝国の国威は大きく揺らぎ、イタリアはランゴバルド族侵入によって半ば以上失われ、バルカンではアヴァール族が猛威を振るう。

そして東方国境ではホスロー1世死後も攻勢を弛めないササン朝ペルシアが侵攻し、ビザンツ帝国はシリア・エジプトの喪失という一大危機を迎える。

その時即位したヘラクリウス(ヘラクレイオス)1世が決然と立ち、軍を率いて見事ササン朝軍を撃退し、シリアとエジプトを回復する。

この辺の記述は精彩に富み、非常に面白い。前巻のベリサリウスによるアフリカ・イタリア征服と並ぶくらい爽快感が得られる。

(ちなみにそのヘラクレイオスの栄光も束の間、イスラムの興起とその爆発的膨張によって回復されたシリア・エジプトは再び奪取され永久に失われることとなる。)

その次の章は前半でもあったキリスト教の教義に関するものである。

主にネストリウス派と単性論を扱っており、要はキリストの神性と人性のバランスについての神学上の争いなのだが、読んでもわかったようなわからないような・・・・・微妙な記述。

私の頭ではよく理解できない。

前半部分のキリスト教関連の章は、ニケーア公会議以後でもアリウス派が一時優位に立っていたり、アタナシウスが追放されたりといった意外な事実があって面白みが無いでは無かったが、本書のこの章は少し厳しい。

飛ばし読みしたわけではないが、無理に頭に入れようともしなかった。

それが終わると今度は、ヘラクレイオス朝から第四回十字軍による帝国の一時的滅亡直前までの約600年間の帝位の変遷を一章でまとめるという荒業にギボンは出ます。

次巻以降はイスラムとアラブ人、ブルガリア人、ノルマン人、十字軍、トルコ人などのテーマ・民族別の章立てになるため、ビザンツの各王朝の歴史はここである程度一括して記述を済ませる意図のようです。

私はこういう権力の有為転変を記した叙述が好きだし、ギボンの文章術も相変わらずの冴えを見せるが、対象がこれだけ長期間に及ぶとさすがに単調だし、さっぱり印象に残らない。

巻末の皇帝在位表を何度も確認しながらよっぽど集中して繰り返し読むか、ノートでも取らない限り暗記するのは無理ですね。

ここを読むのも3回目のはずなのだが、ほとんど記憶に残ってない。

そして終章は聖像禁止令がもたらした混乱とローマ教皇の自立、シャルルマーニュの戴冠とその衣鉢を継ぐ神聖ローマ帝国の国制。

ここはわりと読みやすく、やれやれ助かったといった感じ。

以上ちょっと苦しい部分もありましたが、何とか読了。

一週間で一冊読破のペースで最後まで行きましょう。

8巻のイスラム史の叙述が楽しみです。

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ポール・ジョンソン 『現代史 上・下』 (共同通信社)

保守・タカ派のイギリス人評論家の手に成る物語風の二十世紀史。

急進的社会改良と反市場メカニズムを強く否定する観点から史実をばっさり裁断し、全体主義的体制とその指導者に対しては口を極めて罵倒している。

それは結構なのだが、著者の場合、その善悪の判別の基準が個人責任と言う観念を中心とする「ユダヤ・キリスト教的価値観」の有無らしく、どうも逸脱や行き過ぎと思われる部分もあり、戦前の日本に対する偏見も相当のものがある。

初読の際は腹が立ってしょうがなかったが、今はこれだけ言いたい放題の著者じゃあ、まあ仕方ないかとも思う。

文章は非常に読みやすく、翻訳もこなれている。興味深いエピソードを交え、流れるような文体で大冊を飽きさせずに読ませる。

通常同情的に扱われがちな第三世界の独立運動指導者へも容赦が無い。

特に独立後のアフリカの惨状を記述した章は面白いだけでなく、考えさせられるところが多い。

ほとんどの指導者が国の状況を独立前よりむしろ悪化させたと非難の対象になっているが、その分、法治主義と市場経済を維持して比較的穏健な統治を敷いたケニアやコートジヴォワールなどの例外が深く印象に残る(もっとも本書刊行後の両国の政情は必ずしも安定していないようだが)。

好き嫌いがはっきり分かれる本だと思うので、一度図書館でご覧ください。

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『猪木正道著作集 全5巻』 (力富書房)

著者は高坂正堯氏の師として以前から名前を知っており、大学に入ったばかりのころ古書店で見つけ、結構な値を払って全5巻を購入。

今は版元が変わってブレーン出版というところから出ているようだ。

共産主義の批判的研究、戦後の国際政治史、昭和史の叙述、空想的平和主義を排した国防論などが主な内容。

そのうちで中心は共産主義研究だが、終戦直後に当時民主社会主義の信条を持っていた著者によって書かれたもので、マルクス主義的価値観をかなりの程度認めた上で、スターリン主義に代表されるソ連型社会主義を批判するという立場なので、私が読んだときには少々違和感が残った。

だがそれでも当時はマルクス主義者たちから「歴史の偽造者」と呼ばれ半ば脅迫まがいの言葉も浴びせられたらしい。

昭和史を記述した巻においては、戦前の日本軍部に対する激しい糾弾にやや驚かされる。いい悪いは別にして、少し前は保守論壇に属していた人にもこういう立場を取る人が少なくなかった。

私自身この部分を何らの抵抗なく読んでいたころから、先の大戦についての考え方がかなり変わったのは事実だが、猪木氏の見方を今無条件で排そうとは思わない。河合栄治郎門下で軍部の暴走と専横を身をもって体験した著者にとってはこれが実感を込めた記述なのだろうと推察する。

本書で一番面白いと思ったのは「大世界史」シリーズの一冊で本著作集の三巻に収録された『冷戦と共存』だが、これはのちに単著で手に入れた。そして著作集の方は全巻売り払ってしまった。

少なからぬ金と時間をかけて全巻通読したのだから、読んだのが無駄とは思わない(思いたくない)し、それなりに得るところはあったと思うが、まあまず再読はしないでしょうね。

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岡崎文夫 『魏晋南北朝通史 内編』 (平凡社 東洋文庫)

中国史の中で多くの王朝が浮き沈みし、最も複雑な展開を示した後漢滅亡から隋唐帝国による再統一までの大分裂時代の政治史。

読んだことは間違いない。間違いないのだが、内容はさっぱり思い出せない。

もう一つ岡崎氏の著書で、同じ東洋文庫に『隋唐帝国五代史』が収録されているが、こちらは買った記憶はあるが、読んだかどうかすら思い出せない。

ネタ不足でこんな調子で紹介せざるを得ない本が多くてすみませんねえ。

書かれたのは確か戦前で時代を感じさせる文章で、一部読みにくかったが格調のある文体だなあと思ったことも同時に覚えている。

まあ私程度の読者が何とか通読できたのだから、その点だけでも良書と言えるのかな。

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森島守人 『陰謀・暗殺・軍刀 一外交官の回想』 (岩波新書)

これも相当古い。1950年くらいに出たもので、私は1991年復刊された時に買った。

満州事変など日本軍の大陸進出の現場に立ち会った外交官による回顧録。

今まで読んだ数種の本で引用されたり参考文献に挙げられていたので読んでみた。

何か変な偏りがあって読むに耐えないといった感じは無かったし、最後まで読み通したことは事実なのだが、じゃあ内容を言ってみろと言われると何も思い出せない。

特に強い印象を受けなかったので、その後手放してしまった。

機会があれば図書館で借りて、内容を確認してみます。皆さんも興味が持てればどうぞ。

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H・マウ H・クラウスニック 共著 『ナチスの時代』 (岩波新書)

かなり古い本。初版は確か1961年。

当時西ドイツの学者二人が書いた第三帝国史の簡略な概説だが、今読んでも真っ当な記述で参考になる。

しかし本文に不釣合いなほど長い訳者による註が頂けない。

第二次大戦末期のソ連軍侵入の際の暴行を記したところでは、「この部分は恐ろしく反ソ的で、西独の反共感情を反映してかなりの誇張があると思われる」と書いたり、「最近西ドイツで顕著になっている旧ナチ分子の復活」とか現在読んでいると頭痛がしてくる文章が満載。

「邪魔なようならとばして読んでください」と訳者自身書いているが、むしろ最初から書かないほうがよかったんじゃあ・・・・・。

のちに「過去の克服」の見本として左派的立場の人々から美化された西ドイツが、この時点では軽侮と敵意の対象だったんだなあということがよくわかり、60年代初頭という時代を感じさせます。

まあ楽に読めるし、暇があればお読みください。

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バワーソック 『背教者ユリアヌス』 (思索社)

確か著者はアメリカの大学のローマ史研究者。短いので簡単に読めます。

当時の史料に丹念に当たって、後世様々な評価とイメージが貼り付いたユリアヌスの実像に迫ろうとしている。

著者の姿勢は相当ユリアヌスに批判的である。

「異教の聖人」といったイメージを否定し、当時の帝国にいたずらな混乱をもたらした人物という評価を下している。

その点、ギボンの本や辻邦生の小説でユリアヌスファンになった人が読むと不愉快になるのは間違いないのでご注意。

私もユリアヌスに対して強い好意を持つものだったが、本書を読んで、まあこういう見方もあるのかなと思った。

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高坂正堯・公文俊平 編 『国際政治経済の基礎知識』 (有斐閣)

これは旧版である。

国際政治学の小事典とハンドブックといった本。

執筆者も有名な人がほとんどで、読んでいて面白い項目が多い。

アフリカと南米がやや弱い気がするが、有益で便利な本であることは間違いない。

必ずしも通読の必要はない。手元に置いて暇なとき眺めるだけで十分。

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中野好夫 『アラビアのロレンス 改訂版』 (岩波新書)

私は有名な映画も観ていないし、この人物にさほどの関心も無かったのだが、第一次世界大戦の中東局面を知るという目的だけで、本書を読んでみた。

結構面白いです。メッカの太守フサインをトルコ帝国への反乱に立ち上がらせ、成功を収めたものの、大戦後の戦勝国の態度とアラブ各地方の大きな差異により、全アラブの統一と独立は達成できなかった。

ロレンスがいれ込んだフサインの子ファイザルがイラク国王となり、兄弟のアブドラがヨルダン国王となるものの、フサイン自身はイブン・サウードに破れその本拠を追われる。

以上の過程をロレンスの特異な個性と行動を交えて、読みやすく語られている。

ちょっと古い本だが良書と言っていいんじゃないでしょうか。

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エドワード・ギボン 『ローマ帝国衰亡史 6』 (ちくま学芸文庫)

1巻から5巻が西ローマ帝国滅亡まで、6巻から10巻が東ローマ帝国史である。

これまで前半は3回、後半は2回通読済み。

この度気合を入れ、後半部分の再々読に取り組むこととしました。

この第6巻は、東ゴート王国のテオドリック大王を扱った最初の章とローマ法の起源と発展を記述した最後の章を除いて、ビザンツ帝国最盛期を築いたユスティニアヌス帝の治世で占められている。

実はユスティニアヌスの章に入ってすぐ、その内政に関する記述で飽きてしまい、挫折しそうになった。経験上こういう時は無理せずその日はきっぱり読むのを止めたほうがいいですね。嫌々読み続けたら本自体放り出してしまう可能性が高いので。翌日やる気が出たところで再開。

ギボンがユスティニアヌスに向ける視線は厳しく、その描写は辛辣である。コンスタンティヌス大帝に対するのと同じく、その偉大さを一応は認めながら、卑小で酷薄な性格が同居していたことを指摘することも忘れない。

その治世における最高の政治的、軍事的成果たるアフリカとイタリアの回復についても、ユスティニアヌス自身ではなく、実際に外征軍の指揮を執り、ヴァンダル王国と東ゴート王国を倒した名将ベリサリウスの功を高く評価している。

このベリサリウスに対してはギボンも賞賛を惜しまず、晩年のユスティニアヌスが彼に加えた忘恩行為に対しては強い非難を浴びせている。

最後のローマ法の章はさほど面白くもないが、大学時代単位は取ったものの内容は全く憶えていないローマ法の授業を一部思い出して懐かしい気持ちになりながら読み通した。

この大著は、最初はやはり取っ付きにくいですが、一度文章のリズムに乗るとすらすらと面白く読めますね。

以後何とか10巻まで読了したいです。

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