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中谷臣 『世界史A・Bの基本演習』 (駿台文庫)

私が受験時代一番使った参考書がこれ。

問題集ですが、もう試験を受けることも無いんですから、当然問題を解く必要はありません。

しかし良質の問題が揃っており、クイズ感覚でやってみると世界史を再勉強しようという社会人でも理解を深めてくれる。

解説も基本的には良い。特に独自の年表が非常に役立つ。

中国の南北朝時代やイスラム史、中央アジア史の大まかな流れ、近世ヨーロッパ史の横の繋がりなど、初心者が盲点になりがちな部分が要領良く一覧できるようにされており、わかりやすい。

『青木世界史講義の実況中継』と同じく、細かすぎたり首をかしげるような記述も無いでは無いが、受験生ではない人間でも役に立つ便利な本だと思います。

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佐藤誠三郎 『「死の跳躍」を越えて』 (都市出版)

中曽根政権のブレーンとしても活躍した保守派政治学者の論文集。

この人はとにかく著作が少ない。

これが一番一般向けかなと思うのですが、未だ全編通読はできないまま。

幕末知識人の対外認識、日本と朝鮮の近代化比較、1930年代と70年代における日米関係の対比などが主な内容。

特に三つ目に挙げた日米関係の論文を読んで思うのだが、この人の文章は本当に素晴らしい。

論理的に一分の隙も無い、明快で端正な文体にはホトホト感心させられる。

品切れみたいですけど、何とか復刊してもらえませんかねえ。

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バーナード・ルイス 『イスラーム世界の二千年』 (草思社)

この著者は日本のイスラム研究者の少なからぬ部分から「ネオコン御用達で西欧中心主義のイスラム蔑視学者」とのレッテルを貼られて集中的に批判されているらしい(この辺のことは池内恵『書物の運命』(文芸春秋)をご覧下さい)。

だが、ひねくれ者の私は「ああそれだったら逆に安心して読めるな」と判断して、標準的概説書と思われる本書を買ってみた。

しかし見事に挫折しました。

今風の本らしく、政治史的叙述はごく簡略に済ませており、社会史と文化史の比重が高い。

私が求めているものとは差が有り過ぎました。

世界的な学者相手に「もうちょっとレベルを落として、物語風に諸王朝の興亡を記した、時代遅れの政治史を書いてくれませんか」なんて要望する方がおかしいとはわかってはいるんですけどね。

同じルイスの『アラブの歴史』(みすず書房)も特に政治史に重点を置いてるわけでもなく、そもそも短すぎる。

フィリップ・ヒッティ『アラブの歴史 上・下』(講談社学術文庫)は最近図書館で見た限りの印象では、以前手に取った時よりは面白そうで何とか通読できる可能性があると思ったが、やはり長大すぎる。

外国の著者によるイスラム史で良書を探すというのもなかなか難しいですね。

日本人が書いた本であまり難解でないものを読んだ方がいいかもしれません。

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宮崎市定 『西アジア遊記』 (中公文庫)

前半は戦前の中東方面への紀行文で、後半は「西アジア史の展望」と題された簡略な中東史概説。

後半は『アジア史論』(中公クラシックス)に収められているので今も新刊として手に入る。

よって前半部分が買うに値するかということなんですが、借りて読むくらいでもいいかなあとも思います。

面白いことは面白いんですがね。

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E・ルードウィッヒ 『ナポレオン伝』 (角川文庫)

ナポレオン単独の伝記で通読したのはこれだけとは不勉強にも程がありますね。

まあナポレオン関係に限った話じゃないんですが・・・・・。

本書は個人生活と政治活動の両面がバランスよく叙述されており、なかなか良いです。

とっくに絶版ですがネット古書店では楽に見つかると思います。

エミール・ルートヴィヒ『ナポレオン 上・下』(講談社学術文庫)はたぶん同じ著者だと思うのだが、内容が全然違ったような記憶がある。同一著者の別物なのかな?

あと長塚隆二『ナポレオン 上・下』(文春文庫)は出たときに読もう読もうと思ってるうちに品切れになり、期を逸しました。

本書も処分してしまって今手元にないんで、ナポレオン関係の本を2、3点買って所持しておきたいですね。

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長谷川松治 編 『世界の名著 トインビー』 (中央公論社)

大著『歴史の研究』がいくらなんでも長すぎるので、抄訳されて一冊になったこれを買ってみた。

結局買っただけになってしまいましたが・・・・・。

トインビーは歴史の素人にも人気があるみたいなことを読んだことがありますが、これホントに面白いんでしょうか・・・・?

私には結局良さが全くわからないままでした。

本書の編集方針が史実の例示を極力省いて理論的な部分を残すというものらしく、それがまずかったのかとも思うが、しかし社会思想社から出ていた訳書は縮刷版でも全3巻らしいし初心者が通読するには相当厳しいでしょう。

興味のある方は挑戦してみてください。

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永井陽之助 『平和の代償』 (中央公論社)

高坂正堯氏と同時期にデビューし、現実主義的国際政治学者として活躍した永井陽之助氏の初期論文集。

1967年刊で、中国の核武装とヴェトナム戦争によるアジア情勢の緊迫化を題材にした国際政治評論。

シャープで明快な文体と深慮に満ちた政策提言が光る良書。

一読すれば得られるものは少なくないと思います。

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青木裕司 『NEW青木世界史B講義の実況中継 全5巻』 (語学春秋社)

受験参考書を紹介するのはちょっと違うかなとも思いますが、ブログ書いてる本人が高校生に毛が生えたような知識しか無いんで、ご容赦下さい。

これはかなり有名な本だと思いますが、私の受験時代には出版が間に合いませんでした。

同じ実況中継シリーズで山口俊治氏の英文法を読んで、そのあまりのわかりやすさに感動した覚えがあります。

話し言葉でわかりやすくスラスラ読めるのがこのシリーズの特徴で、本書も同様です。

ちょっと細か過ぎるかなと思うところがあったり、一部首をかしげるような記述があったりするのですが、それを補う長所があると言えるでしょう。

もう一度世界史をざっと復習したいが教科書を読むのはかったるいという人にとって、本書は有力な選択肢の一つになると思われます。

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横山宏章 『中華民国』 (中公新書)

これは最後まで読んだのかな・・・・・?

多分途中で投げ出したんだと思うけど。

確か内容は辛亥革命後、「絶対善」扱いの孫文と「絶対悪」扱いの袁世凱の両者に権威主義的統治への志向という共通点が濃厚にあったというものみたいです。

結局近代の中国はあらゆる種類の急進主義によってズタズタに引き裂かれたような感があります。

そんな中で中庸と穏歩を貫いた人々というと康有為、宋教仁、胡適などでしょうか。

ただの表面的印象で不勉強な私にはわかりませんが。

博識な人がそういう穏健で懐疑的な視線で書いた、中国近現代史を読みたいものです。

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ルネ・セディヨ 『フランス革命の代償』 (草思社)

フランス革命がもたらした犠牲を各種の詳細なデータを用いて分野ごとに検証した本。

重要な本だとは思うのですが、恥ずかしながら買っただけなんですよねえ・・・・・・。

読む機会が無いまま処分してしまいました。

1991年初版の本ですが、今でも新刊として手に入るみたいですので、興味があればお買い求めください。

草思社は結構前の本でも品切れにせずに在庫を持ち続けてくれるみたいで好印象を持ちますね、と関係ない話でお茶を濁して読んでないこの本の紹介は終えます。

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ベンジャミン・シュウォルツ 『中国共産党史』 (慶応通信)

著者のシュウォルツはアメリカの中国研究では有名人らしく、この本も各種の国際政治関係の本で参考文献として挙げられており、良書と言われているそうなので取り寄せて読んでみた。

しかし読後感はあまり芳しくなかった。

史実がわかりやすく頭に入るわけでもなし、独創的な視点に感心させられるわけでもなし。

まあ読み手の私にも問題があるんでしょうけど。

フェアバンクの『中国』と同じく、どうも欧米人にとって最適な入門書と日本人にとってのそれにはズレがあるように思える。

私としては特にお勧めはしませんが、良くない本だと断言もしないでおきます。

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前嶋信次 『イスラムの時代』 (講談社学術文庫)

講談社旧版「世界の歴史」の中の一巻を文庫化したもの。

マホメットからオスマン帝国のスレイマン1世までのイスラム史概説。

これはよくまとまっていて非常に良い。

人物を中心にした物語風の叙述で、私のような初心者には適している。

冒頭のイスラム以前のアラビアの小王国の歴史は余分のような気がしますが、まあいいでしょう。

以前ギボン『ローマ帝国衰亡史』の中のイスラム史の記述を褒めましたが、あれを少し軟らかくした感じで読みやすい。

時代別・地域別に諸王朝の興亡を一つ一つ丁寧に見ていく構成で、完全に政治史が中心となっており、文化史・社会史・経済史はほとんど無い。

それが欠点と言えば欠点だが、初学者がイスラム史の大体の見取り図を得るにはこういう本の方がいいでしょう。

この種の本は現在の視点から見ると時代遅れということなんでしょうが、入門書としてはかえって優れた点がある。

私自身、もっと早く読めばよかったと思いました。

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ジョージ・サンソム 『西欧世界と日本 上・中・下』 (ちくま学芸文庫)

著名な日本学者による日欧関係史。

文化史中心の記述で、あまり興味のある分野ではないのだが、買ってみて気の向いたときページを手繰っていると結構面白い。

通読は結局しなかったが、近代日本史の参考書として役に立つことが多い本ではないでしょうか。

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戴季陶 『日本論』 (社会思想社 教養文庫)

国民党右派に属した中国人の手に成る日本人論。

高坂正堯氏の著書で触れられているので買ってみたのだが、わりと面白い。

版元が倒産してしまったので新刊としては手に入りませんが、興味があれば図書館か古書店でどうぞ。

話は変わりますが、この社会思想社の教養文庫にも「世界の歴史」シリーズがあって、かなり評判は良かったようですね。

かなり前に書店でパラパラ見たところ中国史とヨーロッパ史中心で他地域が手薄な昔ながらの世界史全集なのですが、エピソード豊富で物語性重視の歴史読物といった感がありました。

初心者向けとしては良いものだったのかもしれません。

私も中公旧版を通読した後、これでも読もうかと思ったこともありましたが、結局買わず、そのうちに出版社自体潰れてしまいました。

この『日本論』含め、教養文庫には結構面白そうな本が入っていたので少し残念ですね。

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『角川世界史辞典』 (角川書店)

比較的新しく、山川の辞典に比べれば収録語数は多い。

しかしこれでもまだ物足りない。

あと少し詳しければ言うことないのだが。

今はどんな種類でも紙の辞書は厳しい時代だから、これ以上の本格的な世界史辞典は望み薄かな。

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福田和也 『バカでもわかる思想入門』 (新潮社)

タイトル通り、プラトン・マルクス・孫子・親鸞・ハイデガーなど古今東西の思想家たちの入門の入門といった感じの本。

バカ話を交えたごく簡略な紹介だが、結構面白い。

暇潰しのつもりで寝転がりながらでも読める。

同じ著者で主に政治家を対象にした『超・偉人伝』(新潮文庫)も楽しい。

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竺沙雅章 『征服王朝の時代 (新書東洋史3)』 (講談社現代新書)

これを読んだのは確か浪人時代だったはず。

駿台予備校の模試の解説で参考文献として挙げられているのを見て買ったような覚えがある。

苦手科目の勉強もせず、そんなことしてるから第一志望に落ちるんですね。

それはともかく・・・・・。

コンパクトで理論的な話はなかなか面白かったような気がする。

しかし新書版だけにエピソードや挿話の類いは少なく、物語としての面白みは少ない。

可もなく不可もなくといった感じ。

この新書東洋史の中国史の部分はちょっと微妙ですね。

馴染みのない東南アジアや中央アジアの巻は簡略で手ごろな入門書だと思うんですが。

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井上靖 『敦煌』 (新潮文庫)

これは佐藤浩市と西田敏行主演の映画を先に見た。

それがかなり面白かったので、原作を読む。

まあまあ面白いです。

宋と西夏の対立を背景にした歴史小説。

著名な政治的史実を扱ったものではないですが、当時の社会の雰囲気を描いたものとしては非常に良いのではないでしょうか。

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山内昌之 『近代イスラームの挑戦 (世界の歴史20)』 (中央公論社)

中公新版「世界の歴史」第2回配本。

ナポレオンのエジプト遠征から青年トルコ革命までの中東史。

これは良かった。

変な偏りもなく、手堅い記述。

将来文庫化されたら必ず買うと思う。

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中江兆民 『三酔人経綸問答』 (岩波文庫)

高坂正堯氏の『国際政治』(中公新書)での引用で本書を知る。

明治日本の外交と内政における理想主義と現実主義との相克を浮かび上がらせる書物。

現代語訳が載っているので楽に読める。

是非にとは言いませんが、一読すればそれなりに得るところはあると思います。

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『山川世界史小辞典』 (山川出版社)

タイトルは「事典」じゃなくて「辞典」でいいみたいです。

受験時代に本書の元となった本を持ってたんですが、版形が随分大きくなりましたね。

パラパラ見ただけなんですが、そんなに極端に項目が増えた気はしません。

もうちょっと詳しければいいかなあと思います。

帯に短し襷に長しと言うのは言い過ぎかとも思いますが。

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スティーヴン・ナッシュ著 西部邁訳 『武士道と日本人』 (角川春樹事務所)

最初に言っときますが、著者のスティーヴン・ナッシュなるアメリカ人は99.9%実在しません。

本書はまず間違いなく訳者の西部氏の著作です。

文体と思想の平仄がこれほど西部氏と合ったアメリカ人がいるわけない。

ひとつの日本人論として、面白いことはすごく面白いので一応紹介しておきます。

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司馬遼太郎 『台湾紀行 (街道をゆく40)』 (朝日文庫)

「街道をゆく」シリーズでは「朝鮮」のカテゴリに入れてる2巻『韓のくに紀行』と並んで面白いと思った。

週刊朝日で連載されていたときからリアルタイムで読んでいたので個人的には印象深い。

巻末に当時の総統李登輝氏との対談が載っているが、これは李氏が独立派的心情を最初に洩らした機会となり、大げさに言えば国際政治上の一事件ともなった。

当時紀伊国屋書店で香港で発行されている「亜州週刊」という雑誌を立ち読みしていたら、この対談のことが特集されていて、確か司馬氏が「日本右翼作家」なんて批判的に紹介されていた(もちろん私は中国語など全くわからないので見出しなどをちらっと見ただけだが)。

いろいろ批判もあるようですが、最初に読む台湾入門書としては優れていると思います。

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茨木晃 『スペイン史概説』 (あけぼの印刷社)

極端に入手しにくいものは書くべきではないかとも思うが、これは是非紹介したい。

以前記事にした林健太郎『昭和史と私』(文春文庫)の中の、「スペインの内乱について日本ではとかく左翼的立場から書かれた文献が多かったが、日本に帰化したスペインの歴史家茨木晃の『スペイン史概説』はこの事件を広い視野から総合的に観察して客観的な評価を与えている。」という文章でその存在を知る。

他の出版社から二訂版、三訂版も出ているようだ。

叙述の形式としてはごくオーソドックスなもので、洞窟絵画で有名なアルタミラの時代から20世紀の内戦までを、国王の統治を中心に記した簡略な通史で読みやすい。

しかし本書について何より特筆すべきなのは、その視点の類い稀なユニークさ。

「王権と教権の癒着と専制、異教徒への迫害と追放、異端審問、新大陸への侵略と先住民絶滅、中産階層の脆弱さと市民的自由の不在、全ヨーロッパでのプロテスタント弾圧、英仏蘭等との近代化競争からの決定的脱落、それらすべての挙句に“ファシスト・フランコ”という『絶対悪』が勝利した国」というスペインの歴史にべっとりと貼り付いたマイナス・イメージに保守的愛国主義の立場から逐一反論している。

ひねくれ者の私はこういう本が大好きである。

著者はスペインの独立と発展において王制と教会が果たした役割を何よりも高く評価する。

フェリペ2世死後から米西戦争に至る長い衰退期において、著者は絶対王政を目指す反動派をスペイン古来の身分制議会や地方共同体を否定する反伝統的な勢力と批判する一方、イギリス流の議会主義と無制限の言論の自由をそのまま機械的にスペインに移植しようとした進歩派も国民の分裂を煽っただけであったと強く非難する。

20世紀のスペイン内戦についての記述は他の時代よりも詳細で非常に参考になる。冒頭の林氏の評言が極めて適切であることがわかる。

内戦勃発前から左右両派によるテロが横行し、報復の悪循環の中で事態が悪化の一途を辿っていった過程が描かれる。

またフランコ側の残虐行為を無視しているわけではないが、人民戦線側が行った多数の赤色テロも記している。

そして悲惨な内乱の終了後、国民の傷と分裂を癒そうと最善の努力をした人物としてフランコを著者は極めて高く評価する。

また内戦に関する世界各国の書物において歴史の実状が歪められていると述べ、その例として以前紹介した『スペイン戦争』(中公文庫)の著者斉藤孝教授や、この分野でかなり有名と思われるヒュー・トマス『スペイン市民戦争』(みすず書房)を批判する。

さて、本書への個人的な評価を聞かれれば、本当に「素晴らしい」の一言に尽きる。

以上の下手な紹介では尽くせないほど多面的な視角を持つ書物である。

この本は今でも再版される価値がある。

どこか心ある出版社が版権を取って復刊してくれないだろうか。

どうかよろしくお願いします。

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樺山紘一 『ルネサンスと地中海 (世界の歴史16)』 (中央公論社)

中公新版「世界の歴史」の中の一巻。確かこの巻が初回配本だったと思う。

中公旧版を通読していたので、この新版シリーズが出ると聞いて挑戦してみるかと思ったのだが、結局読んだのは本書ともう一冊だけでした。

私のように根気の全く無い人間には無理です。

もちろん世界史全集をどれか一つ通読しようと決意された方にとっては非常に有益な選択肢だろうと思います。

これは最初に出たものとして、かなり気合を入れて読みましたが、あんまり面白くないですねえ。

こういう近世初頭のルネサンス史はどうしても文化史が中心になりますから、私の趣味性向からいうとかなり守備範囲外になってしまう。

ただ私みたいに偏った人間以外の読者が読めば良書のような気がします。

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A・J・P・テイラー 『ウォー・ロード 戦争の指導者たち』 (新評論)

第二次世界大戦の主要国指導者についての簡単な評伝。

写真が多く本文は短いので、楽に読める。

特に偏った癖はなく、面白い。

日本の章もあるが、「指導者無き唯一の戦争当事国」という評価は当たっていると思う。

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小島晋治・丸山松幸 『中国近現代史』 (岩波新書)

アヘン戦争から1980年代の改革開放政策までの通史。

新書版にしては厚めで情報量が多い。

それはいいんですが、史実の選択と評価については、文革全面否定によって修正された上での、いかにも岩波的な史観から一歩もはみ出すことがない。

良く言えば手堅い、悪く言えば退屈、そういう本です。

一読したのは無駄ではなかったとは思うが、再読するほどの本ではないなあというのが正直なところ。

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堀米庸三 『中世の光と影 上・下』 (講談社学術文庫)

元は文芸春秋「大世界史」シリーズの一巻で、その文庫化。

同じ著者の中公旧版「世界の歴史」3巻「中世ヨーロッパ」に比べると、紙数が限られているせいか、エピソードや挿話の類が少なく物語性に乏しい。

中世史の大局的な見方についての史論が多く、そういう点で勉強になるところもあるが、あまり面白くはない。

私にとってはもう一つでした。

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高坂正堯 『不思議の日米関係史』 (PHP研究所)

著者の絶筆となった史的エッセイ。

ペリーから日露戦争までの日米関係史。

通常の外交史とはまた違った身近な視点から、新鮮な見解を示してくれる本。

本来なら太平洋戦争開戦までが記される予定だったそうで、未完なのが実に惜しまれる。

高坂氏が亡くなられてもう10年経つが、今生きておられたら、現在の「親米保守」と「反米保守」の対立を何と評されるのだろうか。

本当に惜しい方を亡くしました。

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ジョン・フェアバンク 『中国 上』 (東京大学出版会)

読んだのは上巻だけ。

アメリカの中国研究の大御所が書いた入門書。

中嶋嶺雄氏も『国際関係論』(中公新書)末尾の基礎文献リストで推奨していた。

しかしあまり面白いとは思わなかった。

アメリカ人にとって最良の入門書でも、日本人にとってはそうとは限らないし、そんなに有り難がることもないのかなというのが正直な感想です。

本書について以上のような印象を受けていたので、同じ著者の『中国の歴史 古代から現代まで』(ミネルヴァ書房)を書店で見かけたとき、ぱっと見面白そうだったのだが、結局買わなかった。

興味のある方は図書館で借りてお確かめ下さい。

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エドワード・ギボン 『ローマ帝国衰亡史 10』 (ちくま学芸文庫)

いよいよ最終巻です。

冒頭、チンギス・ハンとモンゴル民族の大膨張から始まり、ティムール帝国とオスマン朝の記述に進みます。

この辺は相変わらず上手いなあとひたすら感心します。

オスマン帝国の歴史は当然ビザンツ帝国を滅ぼしたメフメト2世までしか語られませんが、この調子で続けてくれればさぞかし面白いトルコ通史になるだろうなと思わせます。

さて滅亡の淵に瀕したビザンツ帝国と西方ラテン教会との和解の試みが空しく終わったあと、ついにメフメト2世によるコンスタンティノープル包囲と帝国の最終的滅亡が語られます。

しかしこのメフメト2世というのは、何度読んでも好感の持てない人物ですね。

冷酷、残忍、狡猾、傲慢といった印象しか受けない。

その東ローマ帝国滅亡で大団円かと思いきや、最後の3章は中世盛期から末期にかけてのローマ市と教皇座の状況で占められます。

はっきり言ってあまり面白くなく、この部分は読むペースがガクンと落ちました。

まあこれだけの大著には不可欠な余韻を醸し出すために必要なんでしょうから、少々我慢してじっくり読み込みました。

6巻から読み始めて、5週間で後半部分読了。死ぬまでにあと2、3回読みたい。そして今度は全10巻を区切らず一度に読んでみたいですね。相当の気合と忍耐が必要になりそうですが。

後半部分には今まであまり良い印象が無かったんですが、今回読み返してギボンのイスラム史の叙述が予想以上に面白いことに気付きました。

この『衰亡史』は「古典」に属する本ではありますが、面白さでは群を抜くものがあると思います。

気後れすることがあるかもしれませんが、機会があれば是非一度手に取ってみて下さい。

初読の際は5巻末の西ローマ帝国滅亡までで十分です。

最初取っ付き難くても一度ギボンの文章のリズムを掴めばまるで歴史小説を読むように面白く読めます。

私程度の読者でもそう思えるのですから間違いありません。

本書は品切れ扱いにならずに、こうした文庫本の形で末永く入手できるようにして頂けるよう願ってやみません。

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