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マイネッケ 『ドイツの悲劇』 (中公文庫)

マイネッケの主著たる『世界市民主義と国民国家』、『近代史における国家理性の理念』は悲しいかな私の頭では読めない。

よってごく短い本書に取り組むことにする。

第二次大戦直後に書かれた、ドイツの破滅への道を自省した本。

まずプロイセンの軍国主義と権力崇拝思想への批判から始まる。

これらがナチズムの基盤になったというのはごく平凡な見方だが、マイネッケの場合いくつもの留保やためらいを示しながらの批判であり、現代の凡庸な学者が決まり文句のように口にする批判とは異なり、文字通り身を切るような自省を経たものであるがゆえに重みが全く違う。

当然フリードリヒ大王とビスマルクの時代からナチズムの道が必然的に準備されていたなどという愚劣極まる主張には与していない。

次いで全体主義という政治現象を生み出した主要原因といえる大衆社会と大衆民主主義の分析に移る。

価値の相対化、世俗化、合理化、物質主義化が極限まで進められ、キリスト教を中心とする伝統的な規範が弱体化するにつれ、大衆の精神に巨大な空白が生まれ、そこにナチズムという邪悪な狂信が易々と入り込む過程を明快に分析している。

これは意義深い書物であると同時に、楽に読めてなおかつ非常に面白い。

未読の方には是非お勧めします。

大分前に記事にした、同様の全体主義批判の本であるホイジンガ『朝の影のなかに』(中公文庫)と共に熟読玩味したい。

ホイジンガの本を何とか重版再開して貰えませんかねえ、中央公論様。

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