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A・J・P・テイラー 『第二次世界大戦の起源』 (中央公論社)

野田宣雄『ヒトラーの時代 上・下』(講談社学術文庫)で紹介されているのを読んでから十数年来読もう読もうと思っていた本をようやく読了。

両大戦間と第二次大戦直前における極めて密度の高い充実した外交史。

猪口孝『社会科学入門』(中公新書)で本書を評して、「雄弁な歴史というものがまだ健在であることを示した例である。雄弁な歴史とは、退屈でメッセージをもたない歴史の対極物をいう。外交史はえてして無味乾燥なものになりがちであるが、テイラーはイギリスの知識人によくみられる巧妙な議論の進め方、正確な言葉づかい、盛りだくさんの事実の叙述を見事に配合しているといわなければならない。」と書いているが全くその通り。

ヒトラーをヨーロッパの大戦争の厳密な計画者というより、武力による脅迫と敵対諸国間の分裂と臆病さを利用した機会主義者として捉えた本。

本書だけ読んで鵜呑みにするのは危険なようにも思えるが、非常に面白い本であることには間違いない。

それにしてもテイラーの本は当たり外れが激しい。

本書のように有益で面白い格好の読み物になってるものもあれば、『近代ドイツの辿った道』(名古屋大学出版会)や『ハプスブルク帝国』(筑摩書房)のように床に叩きつけたくなる本もある。

私が特に神経質なのかもしれませんが、テイラーの著作を買う場合、事前に図書館での内容チェックは個人的に欠かせません。

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