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松岡完 『ベトナム戦争』 (中公新書)

ヴェトナム戦争に関する総合的な概説書。

1.米ソ関係、2.北ヴェトナム・ヴェトコン関係、3.中越関係、4.米・南ヴェトナム関係、5.米・東南アジア諸国関係、6.米国内の世論という六つの視点から、それぞれに一章を割り当てバランスよく論じている。

編年体式でなくテーマ別の構成だからといって、わかりにくいということはない。

新書にしては情報量も豊富だし、文章も読みやすい。

末尾に参考文献欄や人物小事典があるのも親切である。

初心者向けとしてはかなりいい本だと思います。

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波多野裕造 『物語アイルランドの歴史』 (中公新書)

またまたまたこのシリーズです。

この国の歴史はイギリス史の中で出て来たり消えたりで中々全体像が掴めない。

一度通史を読んで頭の中を整理するのが良いと思ったので、本書を読む。

悪くはないが、記述がややゴチャゴチャしててちょっとまとまりが無い気がする。

例によって細かな人名や経緯は覚えようとせず、大まかな流れを把握すればよいと構えて読んだのですが、最後まで読んでもどうもスッキリとしない。

一定水準はクリアしてると思いますので、単に気のせいかもしれませんが。

紀元前6世紀にケルト人が定住し、ローマの支配下には入らず、ヴァイキング侵入を経て、各地の諸侯が勢力争いを繰り返し、12世紀後半いよいよアイルランド全島の統一王国が実現する可能性が高まった時、劣勢の領主がプランタジネット朝のヘンリ2世に援助を請うたことで、長いイギリス支配の道が開かれる。

以後ノルマン系の植民者が移住するものの、イギリス本国は百年戦争・バラ戦争でアイルランドを顧みる余裕はなく、移住者の多くも土着化しむしろ本国の支配に逆らう傾向が強くなる。

ウェールズと違ってイングランドに完全には同化されず、中世末期には半独立のケルト的勢力が復興するという中途半端な状況が続く。

しかしヘンリ8世の宗教改革を経てイギリスがプロテスタント国家になると、敬虔なカトリック地域であるアイルランドへの統治は厳しさを増す。

エリザベス1世治世の末期における反乱鎮圧や、ピューリタン革命時に新教勢力を攻撃したことが招いたクロムウェルの報復侵攻により、かつて無い程強圧的な支配が敷かれ、多くの土地がプロテスタント地主に奪われる。

それ以後独立までの歴史は高校世界史の教科書でも載ってますね。

1829年カトリック教徒解放法、1922年アイルランド自由国、1937年エール共和国、オコンネル、パーネル、デヴァレラ・・・・・。

以上、大体のことはわかりましたが、それほど面白いとも思わなかった。

まあ手ごろな本ではありますので、どんな感じか一度手にとってご確認ください。

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陳舜臣 『インド三国志』 (講談社文庫)

この著者の相当な数に上る中国史関係の啓蒙書はほとんど読んでいないのに、こういう本だけは読んでしまう。

タイトルだけ見ると、一種のキワモノ(失礼)かとも思うが、中身は真っ当な歴史小説。

舞台は17世紀後半のインドで、「三国」とはアウラングゼーブ帝治下のムガル帝国、シヴァージー率いるマラータ王国、イギリス東インド会社をはじめとする西欧勢力。

文章は非常に読みやすいし、やや細かな史実やその展開をわかりやすく頭に入れることができ、著名な人物の個性や事績を読者に強く印象付けることにも成功しており、歴史小説としては良く出来ている方ではある。

しかし実質未完に終わっており、全体として非常に中途半端な作品。

フランス東インド会社によるポンディシェリ建設やアフガン人とラージプート族の反乱を扱った後、「えっ、これで終わり?」というところで巻末。

比較的面白いのに、こういう終わり方なのが惜しまれる。

インド史のカテゴリが貧弱なのであえて読みましたが、皆様は気が向かなければ特に読む必要は無いかもしれません。

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竹山道雄 『昭和の精神史』 (講談社学術文庫)

『ビルマの竪琴』で有名な著者は、戦前は「オールド・リベラリスト」として時流に組せず、戦後は進歩派によって「反動」扱いという、混じり気の無い敬意を抱くことのできるタイプの人だと個人的には思う。

本書後半部の「手帖」と題されたエッセイ集は飛ばし読みしただけだが、先の大戦に関する史論である前半部の表題作は本当に素晴らしい。

その視点は、戦勝国に媚びることしか知らない陋劣なものでもなく、いかなる自己抑制の回路も持たない無分別なナショナリズムでもない。

読み進めていくと、自分が漠然と思っていたことを透徹した言葉で明快に表現してくれていると感じて、実に清々しい気分になった。

表現は極めて平易で誰でも読める文章でありながら、内容は深く、初心者にとっては非常に効用が大きい。

品切れになって大分経つようですが、今でも十分読むに値する本。

強く推奨させて頂きます。

昭和の超国家主義は、封建時代の継続的発展ではなかった。むしろ、封建体制や精神を克服してあたらしい段階に入った明治の体制を、さらに克服しようとしたものだった。それは否定の否定だった。およそ歴史が一世紀も前のままからの変わらぬ力によって展開するというような不合理不自然なことはあるはずはなく、あったためしもないが、昭和の日本もその例外ではなかった。

激動する現代世界の中にあって、みずからもその激動の一因子であった者が、1920年30年代の世界に共通の衝撃をうけて、ついにあのようなことになった。主役は近代であり、歴史的遺制はわき役にすぎなかった。人の目をあざむく古めかしい仮装はたくさんあったけれども。

あのころの世界に共通の衝撃については、ここに記すことはしない。これによって多くの国がはげしく動揺し、それぞれ自分の個性にしたがった行き方で変容した。日本ではそれが、「天皇によって天皇制を仆(たお)す」という形で行われた。

あの近代戦は封建性がしたものではなく、あの超国家主義は鎖国時代のつづきではなかった。また重臣・政党・財閥・官僚・軍閥による「天皇制」のつづきでもなかった。そうであるかのような外見を呈したもっとも大きな原因は、同じ天皇が別の性格のものとして活用されたからであった。

ファッショが旧体制の持続発展でなかったということは、ドイツでも同じことだった。「ドイツ人はワイマール憲法時代の十四年間をのぞいては、つねに強権に支配されるのに慣れていた。これがナチスのおこった原因である」とて、ワイマール憲法時代をぬかしてその直後のナチスの成立を説明するのは、まちがいだと思う。それも前提条件の一つ、部分的真理ではあったろう。しかし、あの激動のワイマール時代を空白にしてとびこして、次にきた大現象を考えることはとうていできない。ウィルヘルムの権力とヒットラーの権力とのあいだには何のつながりもなかった。初期のナチスは微々たる浪人の団体で、ほかにもっと有力な国粋団体がたくさんあったから、助ける資本家もなかった。はやいころのヒットラーは極端な貧乏で、それについてはいろいろな話がつたえられている。ここでもやはりデモクラシーの無能と腐敗に対する憤怒が大きな動機だったから、旧軍人で参加した者はあった。しかし、1923年のミュンヘン一揆は、ゼークト将軍の参謀本部のために弾圧されて、ヒットラーはじめナチスのリーダーたちは牢に入れられた。やがてヒットラーが雄弁によって民心を手に入れ、ナチスが利用価値をもつようになってから、軍部や資本家の援助もはじまり、持ちつ持たれつしたが、最後にはヒットラーが母屋をとってしまった。母屋をとられた主とそれをとった者とが同じものだとはいえない。持ちつ持たれつした部分を拡大して、これを全体的真理だということはできない。「天皇制」は革新勢力に対して一歩一歩と後退していった。ことに米内内閣が仆された後には、アピーズメントよりほかに手はなかった。しかもアピーズメントは相手をつよくするだけで、何の結果も生むものではなかった。これに加えて、さらに国論と戦時体制の圧力があった。

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水野俊平 『韓国の歴史』 (河出書房新社)

朝鮮史のカテゴリでごく一般的な体裁の通史が無いのは不恰好だなあと思っていたんですが、最近本書が出たのを知って、著者名とタイトルを見て即注文。

結果はやはり買って正解でした。

バランスの取れた叙述で、左右の妙なバイアスを感じることは少ない。

近現代史の記述は、右派的な人には異論もあるだろうが、この程度ならまだおとなしいほうで、読むに耐えないというほどではないと思う。

日本の大学教授の李景珉という人が監修者として名前が載っていて、著者とどういう役割分担なのか明確に書いていないのが気にかかるが、意見交換と記述へのアドバイスといったところだろうか。

李朝時代がなかなか詳しく、できればそれ以外の時代も同じ密度で叙述してくれればとも思ったが、初歩的な概説書としてはこの程度でいいのかもしれない。

類書として、金両基『物語韓国史』(中公新書)、姜在彦『歴史物語 朝鮮半島』(朝日新聞社)、武田幸男『朝鮮史 (新版世界各国史)』(山川出版社)などいろいろありますが、教科書レベルの次に読む韓国通史としては、現時点ではこれが一番良いと思います。

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上東輝夫 『ラオスの歴史』 (同文舘出版)

この国についても、『物語ラオスの歴史』が出ていればそれを読んだのだが、未刊のため本書を読む。

上記の本が出なければ、生涯最初で最後のラオス史の本になるでしょう。

それほど厚くなく、活字も大きめなので、その気になれば半日で読めます。

高校世界史で習ったことを大体憶えている人でも、この国の歴史に関してはほとんど空白に等しいでしょう。

かく言う私も、「何やら知らんうちに建国していて、19世紀末にフランスの植民地になって、第二次大戦後独立して、右派・左派・中間派の連立政権ができたけど長続きしなくて、左派の組織はパテト・ラオ、別名ラオス愛国戦線といって、それがヴェトナム戦争中ヴェトコンと共闘して、アメリカ軍が介入してきて、その後1975年に南ヴェトナム・カンボジアと同時に共産化して王制が廃止されて、統一ヴェトナムの強い影響下におかれて、80年代半ばからはヴェトナムに倣って改革開放政策を進めている」というのがラオス史についての知識の全てでした。

ですんで、本書のあれやこれやの細かな史実は興味深くはあるんですが、ズラズラーっと並べられてる個々の国王名なんかは別に憶えなくてもいいでしょう。

つーか、絶対無理です。

以下のような、ごく大まかな史実の経緯を知っておけば十分でしょう。

ヴェトナム、カンボジアと併せてインドシナ三国という括りをよくされますが、ラオス人は民族的にはタイ人に非常に近く、ビルマ人などと共にシナ・チベット語族に属する(ヴェトナム人、カンボジア人はモン・クメール語族)。(←私は高校の時、この名称で憶えた記憶があるのだが、今は南アジア[オーストロアジア]語族というようです。)

以下の歴史を見ても、前近代においてはヴェトナムよりタイとの関係の方がはるかに深い。

直接関係はないですが、地図を見ると現首都のヴィエンチャンは異様にタイ国境に近いですね。

原住地の中国から漢民族に追われたタイ族の一派としてのラオ族が1353年ファー・グム王の下にラーンサーン(「百万頭の象」の意)王国を建国したのがラオスの起源。

まあこの初代国王だけは憶えましょうか。

都はヴィエンチャンではなく、それよりかなり北方にあるルアン・プラバーンに置かれた。

その少し前にタイ北西部のチェンマイを都にした同じタイ系のラーンナー王国が建国されている。

これは完全に高校世界史の範囲外だが、この国は長期間存続し、ビルマ・タイ間で争奪の対象となり、両国間の激しい戦いの原因となる。

その辺はロン・サヤマナン『タイの歴史』柿崎一郎『物語タイの歴史』にも詳しく記されている。

ラーンサーン王国はほぼ同族のこの国から小乗仏教の導入や王家の通婚など大きな影響を受ける。

トゥングー朝ビルマ、アユタヤ朝タイ、黎朝大越などの圧迫を受けながら独立を維持するが、18世紀に入ると王位継承争いからヴィエンチャン、ルアン・プラバーン、最南部のチャムパーサックの三王国に分裂する。

そして同世紀末にトンブリ朝・チャクリー朝によって三ヶ国ともタイの保護国とされてしまう。

1893年のフランスによる植民地化はタイから宗主権を奪うという形で成し遂げられた(1899年正式に仏領インドシナ連邦に編入)。

20世紀に入ってフランスは分割支配の方針からルアン・プラバーン王国だけを名目上復活させたが、これがラオス独立後の王家となる。

独立後の政治の流れと1975年の共産化までの経緯はなかなか詳しくてわかりやすい。

類書が非常に少ないだけに貴重。

結論としてはかなり良い本だと思います。

細かなところを憶えようとすると嫌になりますから、以上のようなことを読み取れば十分じゃないでしょうか。

この著者も外交官でタイやラオスに駐在したことのある方みたいです。

そのせいか、特に変な偏りもなく、良質な入門書になっていると思います。

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黒川祐次 『物語ウクライナの歴史』 (中公新書)

最近中公新書ばっかりですね。

楽に読めるもので冊数を稼いで誤魔化してるという面は確かにあるんですが、以前書いたように世界史初心者にとって中公は新書も文庫も宝の山ですからある程度は仕方ありません。

本書も非常に良く出来てる。

単独では馴染みの無い国の歴史を、高校世界史でも扱われている周辺国の有名史実と組み合わせて面白く読める通史に仕上げている。

特定の時代に偏ることもなく、スキタイ族が史上初の遊牧民族として活動していた古代から、ソ連崩壊後の独立国家樹立までを満遍なく叙述しており、適切な知識を得られる。

ロシアの起源としてのノヴゴロド公国から派生したキエフ公国はウクライナの起源でもあり、むしろその後の歴史の経緯と史家の解釈によってロシアに「奪われた」という見方が紹介されており、なかなか面白い。

中世および近世での、リトアニア・ポーランドとの闘争やコサック勢力の自立を経て、ロシア・オーストリア両帝国に服属する過程も興味深い。

ただ、この国の現代史は悲惨としか言いようが無い。

ロシア革命後の独立も束の間、ドイツ・ポーランド・デニキンのロシア白衛軍・ボリシェヴィキと赤軍などの外部勢力が侵攻し大混乱に陥る。

国内でも主流の独立派社会主義者とマフノ率いるアナーキスト農民軍の内部対立が激しく、民族団結の核も存在せず、結局最も過激で狂信的なボリシェヴィキが他の勢力を各個撃破しウクライナ全土を支配下に入れる。

スターリン時代には大粛清と農業集団化による人為的大飢饉で恐るべき犠牲者を出し、独ソ戦では国土の大半を破壊された。

長い抑圧と屈従の果てに、ようやく1991年ソ連共産党クーデタ失敗を受け独立を達成する。

いやー、面白い。

著者は元駐ウクライナ大使の外交官であり、悪い意味で学者的ではなく、叙述のレベルも適当で初心者でもわかりやすい。

しかしこの『物語~の歴史』シリーズは本当に使えますねえ。

これを最初に企画した編集者を強く賞賛したいです。

もっともたまにはハズレもありますが。

イランとかスペインとかアメリカは今出てるものを絶版にして、新しい著者でもう一度出してもらえないかと思うくらいです。

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児島襄 『太平洋戦争 上・下』 (中公新書)

中公文庫版も出てます。

先の大戦に関して、感情的に「侵略」だ「聖戦」だと大声を出す本ではなく、基本的な史実をわかりやすく整理された形で述べた純粋な戦史に近い本で、比較的短くて全体を楽に概観できる本というと、私の知ってる範囲ではとりあえずこれかなあと。

精読したのは上巻の途中までなんですが、その印象からいって皆様にもお勧めできます。

大抵の公共図書館に置いてると思いますんで、一度借りてみてください。

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角山栄 『茶の世界史』 (中公新書)

私にしては非常に珍しい社会史・経済史関係の本。

どのカテゴリに入れようか迷いましたが、まあ適当に「近現代概説」の中に入れます。

近代における代表的な商品作物である茶が、イギリス・オランダ・中国・日本などの国々の経済・社会・風俗にどのような影響をもたらしたかを詳細に記している。

読みやすい文章と体裁で、ロングセラーになっているのも頷ける。

こういう本なら社会史音痴の私でも楽しく読める。

浜島書店HPの読書案内でもお勧め本に載ってましたね。

たまにはこういう本を読むのもいいでしょう。

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武田龍夫 『物語北欧の歴史』 (中公新書)

マイナー分野で困ったときにはこのシリーズ。

デンマーク・ノルウェー・スウェーデン・フィンランド・アイスランド五ヶ国の歴史。

前近代史の部分は少々分量不足かもしれないが、『北欧史 (世界各国史)』(山川出版社)を通読するのも大変だし、初心者はこれでいいんじゃないんでしょうか。

高校世界史で出てくる北欧の君主というと、イギリス征服者のクヌート王、カルマル同盟の女王マルグレーテ、三十年戦争の英雄グスタフ・アドルフ、北方戦争の敗者カール12世(前2者はデンマーク、後の2人はスウェーデン王)と、これくらいですが、本書はさすがにもうちょっと詳しい。

しかし細かな人名は無理に憶えなくてもいいでしょう。

まず中学地理の範囲内で、当たり前過ぎますが、各国の位置関係は完全に頭に入れます。

この地域でデンマークが長年優位な地位を占めカルマル同盟の盟主となり、同盟崩壊後スウェーデンが分離独立し、ノルウェーをめぐってデンマークと激しい抗争が続いたこと、17世紀スウェーデンがバルト海沿岸の覇権を握り全盛時代を迎えたこと、ナポレオン時代の後、ノルウェーはスウェーデン領となり、逆にフィンランドはスウェーデンからロシアの支配下に移ったこと、20世紀に入りノルウェーが分離し、フィンランドもロシア革命後独立したこと、といったごく大まかな流れが頭に入れば良しとしましょう。

読みやすい文章でなかなか良いです。

初心者向けにわかりやすい通史を提供するというこのシリーズの趣旨に合っている。

類書が少ない中、貴重な入門書。

お勧めです。

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原随園 『アレクサンドロス大王の父』 (新潮社)

ギリシア史のカテゴリもヘロドトス、トゥキュディデスなど古典を除けばショボ過ぎる。

前から気になっていたこれを読んで、少しでも数を増やす。

タイトル通りフィリッポス2世の評伝。

息子の陰に隠れがちでマイナー感が拭えないが、アレクサンドロスの大遠征の基盤固めをした名君の治世をかなり詳細に記述している。

驚くほど面白いというわけでもないが、あまり知られていない人物だけに史実の経緯をやや詳しく書いているだけでもそこそこ興味深い。

1974年に新潮選書の一冊として出た本でかなり古いが、ギリシア史の啓蒙書としてはなかなか良いのではないでしょうか。

あと大王死後のディアドコイ戦争の経過を詳しく書いた本がないか探しているところです。

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加藤徹 『西太后』 (中公新書)

19世紀後半の中国を支配した女傑の伝記。

「清朝滅亡の元凶」「冷酷・残忍・貪欲な女独裁者」といったイメージを退け、部分的な再評価も行いながら、淡々とその生涯を叙述している。

ただ、再評価はあくまで「部分的に」であり、その欠点や失政も容赦無く記している。

文章にリズムがあって非常に読みやすい。

史実の配分も適当で、説明も丁寧でわかりやすい。

著者の史的解釈や評言も知識の整理に役立ち有益である。

清末政治史として十分使える。

事前の予想より、読後感ははるかに良かった。

初心者向け入門書としてはかなりのレベル。

とりあえず買っときましょう。

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柿崎一郎 『物語タイの歴史』 (中公新書)

ごく最近出た本。

このシリーズでこの国だと買わずにおれない。

オーソドックスな作りでなかなか良い。

バンコク朝以前があっさりし過ぎているかもしれないが、一番最初に読むタイ史の本としてはこのくらいでいいのかもしれない。

立憲革命以後の政治の流れを叙述した文章は結構詳しい上に、それでいて読みやすく非常に貴重。

手堅い仕上がりで、このシリーズでもかなり出来のいい方だと思う。

お勧めします。

あとどこかの出版社が、英文の通史として定評があるらしいワイアット著のタイ史を翻訳して出してくれないかと思います。

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