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村岡晢 『フリードリヒ大王 啓蒙専制君主とドイツ』 (清水書院)

「啓蒙的君主の皮を被った邪悪な権力亡者」といった一面的な見方を排し、その時代の精神に拘束されながらも祖国と国民の繁栄のために自らを厳しく律し努力を重ねた君主としてのフリードリヒ2世を描いた伝記。

ごく平均的な本ですが、入門書としてはなかなか宜しいんじゃないでしょうか。

オーストリア継承戦争、七年戦争の細かな戦史は覚えようとせず軽く流すだけでいいでしょう。

七年戦争でフリードリヒ大王の名を高めたロスバハおよびロイテンの二大会戦の名前だけは知っていたのだが、その二回の勝利は開戦翌年のことであり、以後の持久戦ではさすがの大王もしばしば敗れている。

オーストリア・フランス・ロシアの包囲にあって時には絶望的状況に陥るが、フリードリヒは自ら軍を率いて東奔西走し、致命的敗北だけは逃れる。

そのうち1762年ロシアでエリザヴェータ女帝が死去し、かねてよりフリードリヒの崇拝者でプロイセン贔屓で知られたピョートル3世が即位、普・露間に単独講和が結ばれる。

これで窮地を脱したフリードリヒは翌年フベルトゥスブルク条約で戦争を終わらせ、シュレジエン地方を確保することに成功する。

これに不満を抱いたロシア国内の反対派はピョートル3世の后エカチェリーナを戴いてクーデタを起こしピョートルを廃位する(この辺の経緯はトロワイヤ『女帝エカテリーナ』(中公文庫)に詳しい)。

その他内政面にも軽く触れられており、冒頭の生い立ちと併せて通読すればそれなりに役立ちます。

比較的最近の本として飯塚信雄『フリードリヒ大王』(中公新書)がありますが、私はこちらの村岡氏の本の方が好きですね。

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