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佐藤次高 『イスラーム世界の興隆 (世界の歴史8)』 (中央公論社) 

イスラム史の数を増やさないとどうにもならないわけですが、どうも苦手意識が拭えずなかなか読書意欲が湧かない。

ストレートに中公新版「世界の歴史」の本巻でも読んでみるかと手に取りました。

ムハンマドの布教から始まって、終わりは多くの本と同じく16世紀オスマン朝の制覇の前まで。

これはいいじゃないですか。

史実の配列と説明の仕方が巧みで、非常に頭に入りやすい。

流暢で読みやすい文章で楽にページを手繰れる。

教科書に載っているような重要な出来事や人物にエピソードや挿話を肉付けして、面白い物語を作り上げている。

政治史を主軸にしながら、文化史・経済史・社会史も適度に織り交ぜたバランスの良い通史。

事前の予想よりはるかに面白い本だった。

数年前、図書館で立ち読みしてなかなか良さそうだなと思ったものの、そのまま放置していたのですが、こんなことならまず素直にこれを読むべきだった。

イスラム通史としてこれまで紹介した『イスラムの時代』『都市の文明イスラーム』よりこちらの方がずっと良いです。

イスラム史に関しては中国史や西洋史に比べて良い啓蒙書が少ないと感じていて、やはりこれまでの研究の蓄積の差から回りまわって入門書の質にも影響してるのかと考えていたのですが、これ読んで自分の怠惰を棚に上げてはいかんと痛感しました。

是非お勧めします。できれば早いとこ文庫化してもらいたいもんです(その前に旧版「世界の歴史」の再文庫化もお願いしたいですが)。

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