« 読むべきではあるが読めない本 | トップページ | ジェームズ・ジョル 『第一次世界大戦の起源』 (みすず書房) »

礪波護 武田幸男 『隋唐帝国と古代朝鮮 (世界の歴史6)』 (中央公論社)

この度少々思うところあり、中公新版「世界の歴史」の全巻通読に取り組むことにしました。

全30巻のうち、これまで読んだものが4巻だけで、なおかつ他の本も読みながらですから、そもそも挫折する可能性もありますが、少しずつこなしていくつもりです。

本書は第3回配本分。

十余年前の刊行時には、確かこの巻の途中で嫌気が差して読むのを止めたんだと思う。

自分の忍耐力の無さに改めて呆れます。

今回は3日間ほどで無事読了。

しかし評価は微妙です。

三国時代から唐滅亡までの中国史と、先史時代から新羅滅亡までの朝鮮史が叙述範囲。

全14章のうち、中国史の第1部が8章で、朝鮮史の第2部が6章と、朝鮮史の比重が比較的高めの構成。

その分、中国史の部分は概括的記述が続くだけで、突っ込んだ説明に乏しく、物足りなさを覚えた。

合間に挟まれるエピソードも、仏教関係の細々した話が多くてそれほど興味が持てず、他の話もどうも面白いと思えなかった。

同じ時代を扱った宮崎市定『大唐帝国』(中公文庫)が再三再四の味読に値するのに比べたら、正直かなり落ちるなと感じてしまいました。

個々の記述に関しては、五胡十六国の興亡が簡略ながら説明されており、民族系統別に色分けされたわかりやすい図表が載っている。

これはなかなかいいんですが、やはり全体像を覚えるのは相当苦しいです。

この図表は単行本では色分けがはっきり区別できますが、文庫本だとわかりにくいかもしれませんね。

コストの問題もあるんでしょうが、文庫化の際、オールカラーじゃなくなったのはやはりかなり残念です。

なお西晋末の八王の乱は細かな記述が一切無いのですが、宮崎市定『東洋における素朴主義の民族と文明主義の社会』(平凡社東洋文庫)に確か司馬氏一族内の政権移動を図示した系図付きで詳細な叙述があったと思います。

しかしこれも私には暗記不可能です。本当に複雑すぎる。

本書がそういう煩雑さを避けたのは結構なんですが、この厚さの全集本ならもうちょっと読み応えのある明解な政治史を読みたかったところです。

朝鮮史の第2部に入ると、こちらはページに余裕があるせいか、ごく標準的な通史といった感じでまずは良い。

しかし読み進めていくと、全くの初心者向けの朝鮮史としては、あまり整理されておらずまとまりに欠ける印象がある。

私の頭が悪いせいもあるんでしょうが、話が前後して流れが掴みにくいという感想を持った。

細かな官職名の考察なんかは省いて、高句麗・新羅・百済と加羅諸国の民族的起源などをもう少し丁寧に説いてくれればと思いました。

偏った意見かもしれませんが、本書はあんまり面白い良好な出来ではない気がします。

昔の世界史全集と違って、すべての地域をカバーする必要がある以上、中国史のように伝統的に重視されてきた分野に過度の紙数を費やすことはできないんでしょうが、しかし本書の記述を読むとこの先不安になる。

この後も『明清と李朝の時代』という巻があるように、本全集では中国史の巻中に朝鮮史を組み込む方針のようですが、できれば朝鮮史を独立させて一巻割り当てて欲しかったところです。

まあ、以上はあくまで私の個人的感想ですのである程度割り引いてお読み下さい。

悪い本だとまで断言する気はありませんので。

|

« 読むべきではあるが読めない本 | トップページ | ジェームズ・ジョル 『第一次世界大戦の起源』 (みすず書房) »

中国」カテゴリの記事

全集」カテゴリの記事

朝鮮」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。