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石澤良昭 生田滋 『東南アジアの伝統と発展 (世界の歴史13)』 (中央公論社)

ごく標準的な、植民地化直前までの東南アジア史。

驚くような面白さや、斬新で蒙を啓かれる思いのするわかりやすさは無いものの、手堅い作り。

まずインド文明の影響で国家形成が進み(ヴェトナムのみは中国の影響とそれからの独立という形で)、民族国家が成立し、モンゴルの侵入があった13世紀を境に主要宗教がヒンドゥー教・大乗仏教から、大陸(半島)部では上座部仏教、群島(島嶼)部ではイスラム教に変化していく(これもヴェトナムは例外で大乗仏教・儒教圏に留まる)。

この大きな流れに沿って、細かな史実を肉付けしていく記述はなかなか良い。

ただ、大陸部の歴史に比べて、群島部の記述がややわかりにくいという感想を持った。

しかしそれは、講談社旧版の東南アジア島嶼部史の永積昭『アジアの多島海』を飛ばし読みした時にも感じたことなので、単に私が苦手だからというだけかもしれない。

最後の章の、18世紀以降のインドシナ半島各国史が駆け足なのもやや気に掛かりますが、総合的には大きな欠点も無く、いい通史だと思います。

具体的史実で私的にノートを取るべき点としては、高校レベルのごく基礎的なことですが、16世紀以降のジャワ島イスラム王朝のうち、マタラム王国が東部・中部、バンテン王国が西部にあり、オランダ東インド会社の根拠地バタヴィアが西部のバンテン王国北部にあったという位置関係を確認。

またパガン朝滅亡後のビルマで、北部の上ビルマではタイ系シャン人のアヴァ朝が、南部の下ビルマではモン人のペグー朝が成立し、それが1531年タビンシュエティー王が建国したビルマ人のタウングー朝によって統一されたことも頭に入れておく。

タウングー朝二代目の王で、タイのアユタヤ朝を一時服属させたバインナウン王とか、そのタウングー朝の支配を覆したアユタヤ朝のナレースエン王とかの主要な王名も、可能ならば本書を使って憶えた方がいいだろうと思います(恥ずかしながら、私自身「どっかで聞いたことあるなあ」というくらいのうろ覚えですが)。

それから『ビルマという国』『タイの歴史』『物語タイの歴史』『アンコール・王たちの物語』『ラオスの歴史』『マレーシアの歴史』『物語ヴェトナムの歴史』『ベトナム民族小史』『物語フィリピンの歴史』などやや細かな各国別通史(別に以上に挙げたもの以外でもいいですが)に進めば理解も深まるでしょう。

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