« 紀平英作 亀井俊介 『アメリカ合衆国の膨張 (世界の歴史23)』 (中央公論社) | トップページ | 加藤祐三 川北稔 『アジアと欧米世界 (世界の歴史25)』 (中央公論社) »

福井勝義 赤阪賢 大塚和夫 『アフリカの民族と社会 (世界の歴史24)』 (中央公論社)

私にとって四冊目のアフリカ史。

3部構成で、第1部が人類学や民族学の視点から見た概説。

アフリカの多くの地域が無文字社会だったのだから、こういう記述が多いのも仕方ないが、これを面白く読めるかというと、私の能力では無理としかいいようがない。

言語による民族分類が載っていたので、それをメモ。

1.ニジェール・コンゴ語族

アフリカ全言語の三分の二が属する。そのうち最大のグループがバントゥー諸語。

カメルーンとナイジェリア国境辺りから東部および南部の広範囲に広がる。

ケニアのキクユ語、ウガンダのガンダ語、南アフリカのズールー語も含む。

東アフリカのスワヒリ語もバントゥー語にアラビア語の語彙が多く入って形成されたもの。

2.ナイル・サハラ語族

ソンガイ語、マーサイ語、カヌリ語(ボルヌ・カネム王国の言語)など。

3.アフロ・アジア語族。

かつての「ハム・セム語」。アラビア語、エチオピアのアムハラ語、古代エジプト語、ベルベル語群など。

4.コイサン語族。

かつての「ホッテントットおよびブッシュマン語」。ナミビアのナマ語を除けば消滅途上にある。

あと、第1部では133ページの現代アフリカ地図をじーっと眺めて、できるだけ多くの国名を頭に入れる。

白地図で正確な位置を示せなくても、国名を聞いて東西南北、中央のどの地域にある国か、大体でいいから言えるようになりたい。

第2部に入ると、普通の通史。

本文を読み進める途中で、164ページの王国分布図に面倒くさがらずに立ち返り、ごく大まかな位置関係を確認した方がよい。

高校教科書で必ず出てくる王国はクシュ、アクスム、ガーナ、マリ、ソンガイ、モノモタパの六つだけだが、本書ではその他にアシャンティ、ダオメー、ヨルバ、ハウサ、カネム・ボルヌ、エチオピア、ガンダ、コンゴ、ズールーあたりを押さえておきたい。

位置関係の他にできれば大体の存続期間も頭に浮かぶようになればなおよい。

ヨーロッパ勢力が進出し始めた15・16世紀以降に繁栄した国も結構あることにご注意。

第3部はイスラム・アフリカ史。

イスラム改革・復古運動の記述が多く、やたら細かい人名・地名・教団名が出てくるので読むのが疲れる。

時々ムハンマド・アフマドとかサモリ・トゥーレとか知っている名前が出てくるが、読み通すのにやや苦労することに変わりなし。

細かな部分は無理に覚えようとしなくてもいいでしょう。

ただリビア独立時の王朝のイドリス朝がその手のイスラム改革教団から生まれたものだということは記憶に留め置いた。

その他、1147年ムワッヒド朝滅亡後のマグリブ地域で、モロッコのマリーン朝、アルジェリアのザイヤーン朝、チュニジアのハフス朝という三つの王朝が成立したことをメモ。

モロッコのマリーン朝は15世紀半ばにワッタース朝に取って代わられ、スペイン・ポルトガルの進出にワッタース朝が有効に対抗できないうちに、さらにサアド朝に倒された。

ガーナ王国がムラービト朝に滅ぼされたことは高校教科書にも載っているが、後継国家のマリ王国とソンガイ王国の衰亡もこのサアド朝モロッコの攻撃が原因になっている。

サアド朝は1659年アラウィー朝に倒され、このアラウィー朝系統の王家が現在でもモロッコで王制を敷いている。

第1部と第3部がもう一つといった感じですが、第2部はコンパクトにまとまってよく出来ていると思うし、『新書アフリカ史』に取り組む前の予習として使えば、有益と言えるのかもしれません。

まあまあの内容を持つ本じゃないでしょうかね。

|

« 紀平英作 亀井俊介 『アメリカ合衆国の膨張 (世界の歴史23)』 (中央公論社) | トップページ | 加藤祐三 川北稔 『アジアと欧米世界 (世界の歴史25)』 (中央公論社) »

アフリカ」カテゴリの記事

全集」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。