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間野英二 中見立夫 堀直 小松久男 『内陸アジア (地域からの世界史6)』 (朝日新聞社)

苦手分野の補強に勤しむため、これを読む。

このシリーズが1990年代初頭に刊行されたときには、全く無視していた。

タイトル通り、時代ではなく地域で各巻を区切る全21巻のシリーズだが、かなり薄い本だし、特筆すべき部分もないような気がしてこれまで読まなかった。

他の巻は何とも言えませんが、今回この巻を読んでみた限りでは、意外なほど良い。

まず、遊牧国家と定住オアシス都市の成立、9・10世紀の遊牧民の定住化開始(東の契丹による遼建国、西のウイグル族西進とトルキスタン成立、イスラム化)、15・16世紀の遊牧社会の軍事的優越退潮、18・19世紀のロシアと清による支配と世界史の中での独立性喪失という時代区分を提示し、それから本文の記述に入る。

個々の記述は高校教科書にやや肉付けした程度の質量だが、初学者が無理なく消化できるという点では反って良い。

ごく大まかな見取り図を得るという目的に絞ると、相当使える本。

巨視的な流れを常に意識して叙述されているので、200ページ程の本文にしては極めて効用が大きい。

個別の細かな史実に関しては別の本を探せばよい。

巻末にかなり詳しい文献案内が載っているのも非常な好印象。

コメントこそ付されていないが、難易度によってA・B・Cのランク付けがなされている。

これだけでも、ただ書名がズラッと並べられているリストより、はるかに有益である。

こういうところは、中公新版「世界の歴史」にも見習って欲しかった。

かなりの完成度の入門書と言える。

中央アジア史最初の一冊として十分勧められる。

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