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大林太良 生田滋 『東アジア 民族の興亡 漢民族と異民族の四千年』 (日本経済新聞社)

タイトルには「東アジア」が付いてますが、実質周辺諸国との関わりを重視した上での中国史概説なのでカテゴリは中国にします。

単行本一冊で前近代の中国全史を叙述する本とくれば、内容の薄い無味乾燥の教科書的通史かと思ってしまうが、本書は比較的良い。

一般的な史実を述べていく中で、あまり知られていない知識を付け加え、独自性のある史的解釈を提供してくれる。

時代区分としては基本的に宮崎市定氏らの京都学派と同じく、後漢までを古代、唐末までを中世、宋以後を近世と見なしている模様。

著者は中国史専門ではなく、民族学者と東南アジア史研究者とのこと。

だからとは言いたくないが、「これまでの中国史の概説書では唐の滅亡に続いて五胡十六国の記述があり、ついて宋による天下の統一といった記述が続くのが普通である。」といった、「ええっ」と思うような記述ミスが3、4箇所あったのは残念(×五胡十六国 ○五代十国)。

私の読んだのは初版なので、第二刷以降では直っているかもしれない。

そういう瑕疵はあるものの、読む価値は十分あると思います。

宮崎氏の『中国史 上・下』(岩波全書)とは同列には扱えませんが、初心者がいろいろ得るところはあるでしょう。

しかし日経新聞がこの種の歴史書を出しているのがちょっと意外な気がします。

杉山正明先生の『遊牧民から見た世界史』の単行本と文庫版もそうなんですが。

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