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石川晶康 『NEW石川日本史B講義の実況中継 1』 (語学春秋社)

自分の日本史知識の薄さを痛感しているので、どこかの全集を一つ通読しなければなあと思っているのですが、近代の政治外交史を除く現在の知識は悲しいかな高校教科書のチョイ下レベルに過ぎないので、より基礎的な所から始めるべきではないかと考え、これを手に取りました。

ちなみにこういう学習参考書は当然図書館では置いていないので、わざわざ自分で買いました。

余談ですが、図書館ではこの種の本を所蔵しないのは当たり前だと言われれば何も言えないんですが、絶版になった参考書というのは再度手に入れるのが非常に難しいんですよねえ・・・・・。

ある種の資料性を考慮して蔵書に入れてもらえると有り難いと思うのですが。

この巻は原始から古代末期まで。

有名講師の著作だけあって、ポイントが明確に強調されていて、読んでいて面白い。

曖昧な理解に終わりがちの、氏姓制度や荘園制に関する説明は非常にわかりやすい。

なお、本書を読んでいて改めて思ったことなんですが、「世界史は日本史に比べて覚えることが多過ぎて嫌だ」とよく言われますが、私はこの意見が全く理解できない。

『詳説日本史』の記事での引用文でも触れたんですが、内容的には日本史の方がはるかに高度で細かいはず。

世界史は範囲こそ広いものの、言ってみれば中学の(場合によっては小学校の)日本史のレベルを世界の各国に関して浅く学ぶだけなんじゃないでしょうか。

本書で取り上げられている事項を例に取ると、天武天皇の「八色(やくさ)の姓(かばね)」を「真人(まひと)・朝臣(あそみ)・宿禰(すくね)・忌寸(いみき)・道師(みちのし)・臣(おみ)・連(むらじ)・稲置(いなぎ)」と順番も読み方も共に覚えよとか、律令の統治機構として「二官・八省・一台・五衛府」を押さえて、八省は左弁官管轄が「中務・式部・治部・民部」で、右弁官管轄が「兵部・刑部・大蔵・宮内」だとか、645年乙巳の変と646年改新の詔とセットで東北経営のための軍事拠点として647年渟足柵(ぬたりのさく)、648年磐舟柵(いわふねのさく)が現在の新潟県に置かれたことも暗記せよとか、その他いろいろやたら細かいことが書かれてある。

古代だと欽明から後白河までの天皇はほとんど覚えないといけないだろうし、こういうことを考えていくと、なぜこれで世界史の方が暗記の量が多いと言えるのかと不思議に思えてしょうがない。

一般常識としての歴史を学ぶ目的に照らせば、むしろ高校日本史の方が余分な細部が多過ぎる。

それに引き換え、もし高校で世界史を履修しなかった場合、義務教育までの歴史の授業だと世界史関連の知識が貧弱過ぎる。

そのままだと新聞・テレビの国際ニュースすらよく理解できないでしょう。

以前も同じことを書きましたが、やはり高校での世界史必修は続けるべきではないでしょうか。

途中から大幅に話が逸れましたが、本書は受験生だけでなく、社会人が日本史を学び直すために読んでもなかなか面白い内容を含んでいる。

気が向いたら書店で買ってみるのもよいでしょう。

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