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『改訂版 世界史B用語集 [2008年版]』 (山川出版社) その1

2002年に買った『世界史B用語集』をこの度8年ぶりに買い換えてみました。

奥付を見ると、「2008年第1版第1刷  2010年第1版第3刷」となっている。

前のやつは「2000年第1版第1刷  2002年第1版第5刷」。

毎年ではなく、教科書の検定ごとに改訂するはずだから、2000年から4年ごとの改訂で今回が2度目といったところか?

まずすぐ気付くのが、装丁について。

自分の高校時代以来、カバー部分が本体から少しはみ出していたのが、今回は本体と同じ大きさに。

次に用語の登場頻度。

すべての教科書のうち、何冊に載っているのかを用語のすぐ後に載せているのが、この本の最大の特徴だが、前回は最大頻度が19だったのだが、今回は11

私の頃の冊数がいくつだったのかは忘れたが、書店で立ち読みしたのを記憶している限り、今回まで減ったのを見た覚えはないので、なぜか物悲しい気分に襲われる。

もっとも世界史教科書が19種類もあるのが「バブル的」かもしれませんが。

あと、最近削除された用語でも解説が必要と思われるものには[参考]として載せてあるのが目に付く。

以下、ざーっと眺めた上で記した適当な感想。

(括弧内は頻度。複数の箇所に載っている場合、最も高い数字を書いているつもりですが見落としがあるかもしれません。「あれっ」と思うほど頻度が低い場合、他の箇所で主に載っている可能性がありますので注意が必要です。)

アッカド人(10)ということは載ってない教科書があるということですか・・・・・・。

ミタンニ(9)フルリ人(2)について、支配層は印欧系としながらも、最近は支配層含め全てフルリ人との説があると書いてあるのは、中公世界史全集『人類の起源と古代オリエント』の記述と同じ。

私の高校時代には聞いたこともなかったが、こういう新しい学説が教科書にも徐々に反映してるんだなと実感。

上記アッカド人と同じく、ハンニバル(10)が載ってない教科書に不安を感じる。

逆にレピドゥス(8)東京書籍の教科書の記事で書いたように、不要の気がしないでもない。

ローマ帝国の「3世紀の危機」(2)という言葉は、教科書レベルではこれまで見た記憶無し(前回の用語集でも収録ゼロ)。

マクシミヌス(1)が軍人皇帝の始めとして載っている。

この人は塩野ローマ史『迷走する帝国』に出てくるマクシミヌス・トラクスのこと。

私の頃の山川『新世界史』には、確か(セプティミウス・)セヴェルス帝の名が載っていたと思うが、今はどの教科書にも載っていない模様。

拓跋国家(1)というのがあって、「何ですか、それは?」と思い説明を見ると、「北魏以来の北朝から、隋・唐にいたる一連の王朝のこと。支配層には拓跋氏出身者が多く、国家の仕組みにも共通点が多かったことからの呼称。」とある。

後漢滅亡から北宋成立まで、この時期の中国史については、門閥貴族が勢威を振るい、皇帝権は弱体で、みたいなことをしっかり頭に入れればいいので、こういう見慣れない用語は無理に載せなくてもいいんじゃないでしょうかと思う(一種類の教科書だけですが)。

オゴタイ・ハン国(8)について、「オゴタイ系の勢力は存在したものの安定した政治勢力とならなかったため、この国は事実上存在しなかったとの説もある」と「ええっ!!」と思うことが解説に書いてある。

こんなこと、杉山正明先生の『大モンゴルの時代』でも読んだ記憶無いですが・・・・・。

(忘れてるだけか・・・・・?いや、しかしやはり覚えは無い。)

(追記:以上やはり杉山氏の説のようです。完全に忘れてますね・・・・・。)

モンゴル人第一主義がたったの(3)(これも杉山先生の影響?)。

でも「タタールの平和」(3)だ。

マテオ・リッチ(11)アダム・シャール(9)フェルビースト(7)ブーヴェ(8)カスティリオーネ(11)と、中国で布教したイエズス会宣教師の頻度がやたら高いのは、私の頃と同じですが、何でなんでしょうね?

「イスラム」がすべて「イスラーム」になっているのが正直鬱陶しい。

ハールーン・アッラシード(10)も満数じゃないのか・・・・・。

サッファール朝(1)の説明で、ターヒル朝(これは頻度ゼロ)から自立して建国したイラン系初のイスラム王朝と書いてあるが、じゃあターヒル朝はイラン系じゃないのか?

どうだったのか忘れた。

イドリース朝(2)ザンギー朝(2)は高校時代全く聞いたことが無かった。

アッティラ(8)って低過ぎませんか?

ユーグ・カペー(8)も。

フランク王国(11)について、「ゲルマン諸国家中、イギリス王国とともに長く存続し」と書かれていて、言われてみれば初歩的過ぎて盲点だが、確かにそう。

他は大抵イスラム、東ローマ、フランクに滅ぼされているので、歴史の継続性から見れば昔から英国はヨーロッパの別格だったことがわかる。

(フランク=フランスではないでしょうが、フランク最初の根拠地としての重要性からするとフランスも。)

神聖ローマ皇帝フリードリヒ1世(2)フリードリヒ2世(3)

これはもっと高くてもいいような・・・・・。

ダンテ(10)ブルボン朝(10)などが満数でないのは理解に苦しむ。

私は文化史について何か言える人間ではないが、ルネサンスの項でティツィアーノが載ってないのには「あれっ」と思った(旧版では頻度3で載ってる)。

タイの現王室、ラタナコーシン朝(チャクリ朝)(7)の別称として「バンコク朝」が載らなくなっている。

これは何か理由があるんだろうか?

その創始者ラーマ1世(1)も昔は「プラヤー・チャクリー」という名が載っていたが、ロン・サヤマナン『タイの歴史』には、確かこれは本名というより一種の称号だというようなことが書いてあった記憶がある(ただしうろ覚え)。

時代を遡って、スコータイ朝のラームカムヘーン(1)王も消滅寸前ですね。

『角川世界史辞典』で同項を引くと、「タイ文字の制定者、理想の統治者として王の功績を記したラームカムヘーン碑文は、最近19世紀の偽作との疑いが出された」と驚くようなことが書かれてあるが、ひょっとしてこうしたことも関係しているのか?

ジギスムント[参考]扱いなので少々驚いたが、前回からすでに載ってなかった。

「金印勅書」のカール4世の息子だし、コンスタンツ公会議を主催したりと、この人結構重要だと思うんですけどね。

マゼランを敗死させたフィリピンの首長ラプラプ(2)が載っているのが目を引く。

近代世界システム(4)再版農奴制(4)社団国家(1)17世紀の危機(6)(環)大西洋革命(4)と、こういう用語も載るようになったんですねえ・・・・・。

「17世紀の危機」なんて半分以上の教科書に載ってるわけですか。

コーヒーハウス(9)なのがやや不可解。

世論形成の場として重要なのは『コーヒーが廻り世界史が廻る』(中公新書)でもわかりますが。

近代以降は次回に続きます。

(追記:続きはこちら→その2

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