30冊で読む世界史 その2
その1の続き。
ラテン・アメリカは、(16)高橋均『ラテンアメリカ文明の興亡 (世界の歴史18)』(中央公論社)で先史時代から現代までカバーできるので、即決。
全集モノで傑作があると、こういうとき楽です。
オセアニアはさすがに勘弁して下さい。
もし何か読むのなら竹田いさみ『物語オーストラリアの歴史』(中公新書)だけでいいでしょう。
しかし今の時代、アフリカは省略できんよなあと考え、(17)宮本正興『新書アフリカ史』(講談社現代新書)を挙げる。
イスラム・中東も中公の全集に(18)佐藤次高『イスラーム世界の興隆 (世界の歴史8)』(中央公論社)という名著があるのでほとんど迷わない。
本書がオスマン以前しか叙述していないというのなら、後藤明『ビジュアル版イスラーム歴史物語』(講談社)が非常にわかりやすい形式で現代までの西アジア全史を物語ってくれていますので、これで代用しましょう。
あと、菊地達也『イスラーム教 「異端」と「正統」の思想史』(講談社選書メチエ)はタイトルが与える印象とは異なり、宗教史ではなく、やや詳しい通常の通史としても使えます。
一般常識レベルの本として、阿刀田高『コーランを知っていますか』(新潮文庫)で肩慣らしをして、現代史では藤村信『中東現代史』(岩波新書)辺りで基礎を作りますか。
続いて中央アジアですが、これがねえ・・・・・。
間野英二『中央アジアの歴史 (新書東洋史8)』(講談社現代新書)も、羽田明『西域 (世界の歴史10)』(河出文庫)もいまひとつとの感がある。
迷った末、やや簡略だが、(19)間野英二『内陸アジア (地域からの世界史6)』(朝日新聞社)を選択。
お茶を濁したとの印象が拭えませんが、これはオリエントと並んで今後の宿題にさせて下さい。
他に井上靖『蒼き狼』(新潮文庫)は有名な作品で読みやすいし、一読しておいてもいいでしょう。
なお杉山正明先生の『大モンゴルの時代 (世界の歴史9)』(中央公論社)など一連の著作は、初心者に勧めてよいものやら、判断に迷います。
インドに入ると、ここでも(20)山崎元一『古代インドの文明と社会 (世界の歴史3)』(中央公論社)と極めて使い勝手の良い本があるので、すぐ埋まる。
これもイスラム史と同じくムガル朝以前のみで全体をカバーしてないが、かと言ってターパル、スピィア『インド史 全3巻』(みすず書房)じゃ初心者にとってハードルが高すぎる。
この辺は網羅性をある程度犠牲にしても、挫折せず読み通すことを優先して上記本を採用。
加えてサブテキストして、渡辺照宏『仏教』(岩波新書)でも読んでおきますか。
東南アジアも個々の著作ではそこそこいいものがあるが、全域の通史ではすっと思い浮かぶものが無い。
永積昭『東南アジアの歴史 (新書東洋史7)』(講談社現代新書)は簡略過ぎて、ちょっとインパクトに欠ける。
思い切って柿崎一郎『物語タイの歴史』(中公新書)で通史の代用にするかとも思うが、いくら主要国でも一国史で全域の歴史を代表させるのは問題があるかと思い止まる。
結局、(21)石澤良昭 生田滋『東南アジアの伝統と発展 (世界の歴史13)』(中央公論社)を採用。
これは書名一覧で評価4となっていますが、今思うと「そんなに面白かったかなあ」との疑いが生じている。
しかし、まあ暫定的には基礎テキストとして採用しても大丈夫な本だと思います。
さて、やっと中国史まで来た。
通史としては、やはり(22)宮崎市定『中国史 上・下』(岩波書店)がベスト。
好き嫌いはあると思うが、個人的にはこの本は決して外せない。
ただし、クセがあってどうしても駄目だという場合は寺田隆信『物語中国の歴史』(中公新書)で代用できます。
冊数制限が無ければ、宮崎先生の本だけで10冊近くいってしまうのだが、厳選に厳選を重ねて、(23)宮崎市定『大唐帝国』(中公文庫)を挙げる。
史観の大胆さ、叙述の華麗さで並ぶものの無い、時代別通史の傑作。
そして、ギリシア史でヘロドトス・トゥキュディデスを挙げたのと同様に、中国史でも(24)『世界の名著 司馬遷』(中央公論社)に挑戦してみましょう。
これは初心者に通読できる形式・内容の古典ですので、是非読破しておきたい。
加えて、歴史小説の傑作、(25)司馬遼太郎『項羽と劉邦 上・中・下』(新潮文庫)を。
この本、面白過ぎますので。
全30冊なら、中国史で4冊費やせば、とりあえず打ち止めですかね。
宮崎氏の『科挙』(中公文庫)のような、定番中の定番も外さざるを得ない。
また、これもリストには入れられませんでしたが、中国現代史の基礎を固めるため、中嶋嶺雄『中国 歴史・社会・国際関係』(中公新書)でも読んでおきますか。
これ1冊でもこなしておけば、初心者にとっては大いに違います。
中国史は他分野に比べて日本語で読める啓蒙書の絶対数がはるかに多いので、他にも、このブログで挙げている、いないに関わらず、読みやすいものを読破していって、知識を地道に増やしていって下さい。
最後に朝鮮史を。
ここも迷う。
水野俊平『韓国の歴史』(河出書房新社)も金両基『物語韓国史』(中公新書)も姜在彦『歴史物語 朝鮮半島』(朝日選書)も、いまいち決め手に欠けるなあと思う。
金素雲『三韓昔がたり』と同『朝鮮史譚』(講談社学術文庫)は読みやすいのはいいが、通史としてはやや物足りない。
と思っていたが、(26)岡崎久彦『隣の国で考えたこと』(中公文庫)を忘れていた。
これは疑いも無く傑作である。
基本、史論・評論のような本だが、一応後半部は簡単な韓国通史の形式になっているし、初心者には様々な面での効用が期待できる。
本書は1970年代末期の著作であり、岡崎氏の現在の政治的立場はほとんど反映されていないので、そうした面を気にする方はご心配不用です。
これは繰り返しページを手繰るべき本でしょう。
地域別カテゴリはこれまで。
テーマ的カテゴリから残り数点を抽出。
近現代概説より(27)林健太郎『二つの大戦の谷間 (大世界史22)』(文芸春秋)と(28)野田宣雄『ヒトラーの時代 上・下』(講談社学術文庫)を挙げる。
これまで何度勧めたかも思い出せないほどだが、高校レベルの初心者にとって、この両著が与えてくれる効用は本当にずば抜けてます。
最も初歩的な現代史入門として最高の出来。
これらが新刊で入手できない状態を何とか解消して頂けないでしょうか。
もし復刊ということになりましたら、豆粒みたいなブログですが、大いに宣伝させて頂きますので、どうかよろしくお願い致します。
加えて、戦後世界史の概説書が一冊欲しい。
猪木正道『冷戦と共存 (大世界史25)』(文芸春秋)にしようか、それより少しは叙述範囲の広い猪木正道 佐瀬昌盛『現代の世界(世界の歴史25)』(講談社)にしようか、と迷いましたが、結局(29)高坂正堯『現代の国際政治』(講談社学術文庫)を採用。
完全な初心者にはやや良さがわかりにくい本かもしれませんが、やはりこれは外せないという結論に達しました。
これも噛めば噛むほど味の出る本で、数度通読する価値のある書物です。
あと一冊、最後に国際関係・外交分野から(30)高坂正堯『国際政治』(中公新書)を挙げてラストを飾る。
この本を読んだときの衝撃と感動は今もありありと心に浮かび、忘れられないものがある。
政治や外交について初心者が学ぶ際、是非とも通り抜けておくべき本と言えます。
また、ジョセフ・ナイ『国際紛争 理論と歴史』(有斐閣)も優れたテキストなので一読の価値有り。
なお、基礎的な道具類として、教科書・年表・事典のカテゴリを見て、高校教科書をどれか一冊手元に置いておくと宜しいかと思います。
(と言っても、山川出版社の『詳説世界史B』以外は入手困難でしょうが。)
あと、簡易世界史事典のつもりで『世界史B用語集』(山川出版社)を所持し、大型書店の受験参考書コーナーで歴史地図の付いた高校副読本のうち、気に入ったものを一つ購入する。
世界史関連本を読んでいく中で、気になった事項をこれらでチェックして、知識を確認していけばいいでしょう。
教科書と用語集は本棚に仕舞い込んで置くのではなく、机の上か床の上に無造作に放り出して置き、ほんの1分か30秒でもいいから、頻繁に手に取って適当なページをめくって目を通すことを意識してやると良い(トイレの中に持ち込むのも可)。
(私は『詳説日本史』(山川出版社)でそれをやって、知識の穴埋めにかなり効果が有りました。)
教科書が無味乾燥で嫌だという方には、中谷臣『センター世界史B各駅停車』(パレード)と青木裕司『NEW青木世界史B講義の実況中継 全5巻』(語学春秋社)の二つを挙げておきます。
いきなり大学受験向け参考書はハードなので、小中学校レベルのもっと基礎的なことから始めたいという方には・・・・・・。
日本史なら迷うこと無く、各社から出ている「学習漫画日本の歴史」の類をお勧めするのですが、同種の世界史漫画シリーズはちょっとよくわかりません。
何か適切なものを見つけたら、またこのブログで取り上げるつもりです。
なお、現代史を知るための対策として、紙の新聞を一紙購読して、国際面だけでいいので、毎日隅から隅まで読むのもいいかもしれません。
各国別、地域別類書があってもすぐ情報が古くなるのが厄介ですが、新聞の記事・解説を我慢して読み続けていると、ある程度の知識が付いてきます。
大雑把過ぎる紹介でしたが、とりあえず終わりました。
以下、一度に30冊並べてみます。
(3)岸本通夫『古代オリエント (世界の歴史2)』(河出文庫)
(4)『世界の名著 ヘロドトス・トゥキュディデス』(中央公論社)
(7)井上浩一『ビザンツとスラヴ (世界の歴史11)』(中央公論社)
(14)セバスチャン・ハフナー『ヒトラーとは何か』(草思社)
(15)ジョージ・ケナン『アメリカ外交50年』(岩波現代文庫)
(16)高橋均 網野徹哉『ラテンアメリカ文明の興亡 (世界の歴史18)』(中央公論社)
(18)佐藤次高『イスラーム世界の興隆 (世界の歴史8)』(中央公論社)
(19)間野英二『内陸アジア (地域からの世界史6)』(朝日新聞社)
(20)山崎元一『古代インドの文明と社会 (世界の歴史3)』(中央公論社)
(21)石澤良昭『東南アジアの伝統と発展 (世界の歴史13)』(中央公論社)
(27)林健太郎『二つの大戦の谷間 (大世界史22)』(文芸春秋)
(28)野田宣雄『ヒトラーの時代 上・下』(講談社学術文庫)
以上、もちろん単なる叩き台に過ぎませんので、皆様の好みやレベル、あるいは入手し易さに従って適当に取捨選択して下さって結構です。
中央公論社の本で半分を占めていたりと、私の好みがはっきり出過ぎているかもしれませんが、一定の冊数以内で最低限の目途が付くということを示せただけでも、このリストの意味があるかと。
中公新版世界史全集を挙げて、巻数もちょうど30だしそれ読んでください、で済ませるのも芸がないですしね。
30冊ということは一月2冊読むとして、一通りこなすのに一年ちょっとですから、私ほどの暇人じゃない方にも比較的現実的な数字だと思います。
研究者でもセミプロ的達人でもない、少々世界史に興味があるという位の、私と似たレベルの方にとって、何かのお役に立てれば幸いです。
本日で通算1000記事目です。
はじめにとおしらせ・雑記と引用文を除いて、紹介冊数で言うと850弱です。
(そのうち、通読していないのに記事にした分がかなりありますが。)
予告通り、当分の間更新を停止させて頂きます。
再開未定です。
ただし、ココログフリーでは一年間新規記事を上げないとブログ自体削除される規約のようですので、とりあえず年一回は更新するつもりです。
それでは皆様、御機嫌よう。
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