浜林正夫 『世界史再入門 歴史のながれと日本の位置を見直す』 (講談社学術文庫)
数ヶ月前に新刊情報の記事の中で、名前だけ出した本を通読。
さほど厚くない、一冊モノの世界史。
私程度の知識しか無い人間が、自分に合わないからといって一刀両断に切り捨てるのは、どんな本であれ宜しくないでしょうし、そんなのを読まされる方も鬱陶しいのはわかっているつもりですが、これについては言わずにおれない。
はっきり言って長所が全くわからない本でした。
「まえがき」で使用方法として、まず各章のまとめの節を先に読んでもらっても良いと書いてあって、こういうふうに明解な指針を読者に示してくれるのには好感が持てる。
しかし、そのまとめを読んでみても「うーん」と思うだけで、全世界史を一望の下に理解することができる認識軸を提示してくれているとは到底思えないし、さしたる感銘も受けない。
(著者には「そりゃ君の頭が悪いだけだ」と言われるかもしれませんが。)
その前後に記されている大まかな史実の流れは、高校教科書の記述を薄めに薄めた絞りかすみたいな文章で、全然面白くない。
最後の「補論 世界史像の再構成へむけて」はまあ興味深い点が無いでは無いが、著者と同じ考えを持てない読者にとっては「???」の連続ではないでしょうか。
(なお、現代史の部分で著者の相当に左派的な立場が打ち出されていますが、そういうことだけで文句を付けているのではありません。)
同じ世界史概説でも、ウィリアム・マクニール『世界史』(中央公論新社)(現在は中公文庫に上・下巻が収録)や宮崎市定『アジア史概説』(中公文庫)と比べれば、天と地ほどの差を感じる。
この両書とはそもそもページ数が違うと指摘されれば、やや対象範囲がせまいとは言え、同じく薄い文庫本である松田壽男『アジアの歴史』(岩波現代文庫)と比べても役に立つ視点が少な過ぎると言いたい。
「読む価値無し」と断言する気はありませんが、積極的にお勧めする気もゼロです。
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