カテゴリー「ヨーロッパ」の31件の記事

梅田修 『世界人名ものがたり 名前でみるヨーロッパ文化』 (講談社現代新書)

かなり前にこれを読んでいたのを、突然思い出した。

10年ほど前なので内容はよく憶えていないが、まあまあ面白かった記憶がある。

『世界人名~』というタイトルだが、実質ヨーロッパ人の名前だけについてあれこれ書いた本でしょう。

高校世界史で同じ人名でも国によって、チャールズ(英)、シャルル(仏)、カール(独)、カルロス(西)とか、ヘンリ(英)、アンリ(仏)、ハインリヒ(独)、エンリケ(西・ポ)とか呼び名が違いますが、そういうことも含むのか。

そういや、高校2年の時、世界史を担当してもらった先生はカール大帝やカール5世のことをチャールズ大帝、チャールズ5世とか言う人だったなと思い出した。

気さくでいい先生だったので今も感謝しているんですが、この呼び方は反ってややこしい。

さすがにヴィルヘルム1世や2世をウィリアムとは言ってませんでしたが。

すみません、書くことが無いので、今日はこれまでです。

にほんブログ村 歴史ブログ 世界史へ
にほんブログ村

人気ブログランキングへ

| | コメント (2) | トラックバック (0)

ジョゼフ・ギース フランシス・ギース 『中世ヨーロッパの城の生活』 (講談社学術文庫)

同じ著者の『都市の生活』『農村の生活』の読後感が比較的良好だったので、これも読みました。

領主・騎士という支配層から見た中世ヨーロッパ社会点描。

主に、11世紀から13世紀の中世盛期におけるイングランドとウェールズの事例が取り上げられている。

このシリーズすべてに言えることですが、読みにくいと感じた部分は軽く流して、どんどん読み進んだ方がいいです。

途中から興味がわいてくる文章が出てきて、楽にページが手繰れるようになりますので。

本書も、上記二著と同じく、なかなか良い。

社会史関連で、中世ヨーロッパはかなり類書が多い分野だと思いますし、他にもいい本が幾らでもあるんでしょうが、とりあえず『刑吏の社会史』『魔女狩り』『ペスト大流行』とこのシリーズ三点を読むだけにしておきます。

村の人口の大部分を占める農奴にとって、理屈の上では領主が絶対的権力者だった。領主は農奴の地代や奉仕の義務を勝手に増やしたり、所有物を差し押さえたりすることができるとされていた。しかし、実際のところは、昔から積み重ねられた慣習が法律と同じような効力を持っていて、領主の法的立場を制限していた。それに、小作人の奉仕がなければ領主の暮らしが立ちゆかないという現実もあったから、小作人たちが逃げ出したり、反抗を企てたりするほど締めつける領主はまれにしかいなかった。小作人は奉仕の義務を怠らない限り、小作地を維持し、跡継ぎに譲ることができたのだ。森や荒れ地も厳密には領主の所有物ではあったにしろ、小作人は慣習によって決められた範囲内で開拓することもできたのである。・・・・・小作人と領主との関係は互恵的、現実的であり、その上、永続的なものだった。農奴は土地にしばられてはいたが、同時に、その小作地を奪ってはならないという慣習によって守られてもいたのだ。

それぞれの階級の枠内で機会が均等に与えられ、隣人同士が協力して働き、身分と血筋の維持が重視された村の共同体の理念は、何世紀にもわたって保たれた。これとは対照的に、中世の都市生活者が理想とし、職人ギルドが目指した理念―各人がそれぞれの職業に勤しみ、作ったものを売り、極端な金持ちも貧乏人もいない社会―は、ほんの短い期間、しかも不完全な形で実現したにすぎず、やがて商業の発達によって大商人が生まれ、貧富の差がますます開いていくことになる。

村の理念が長く続いたのは、主に貨幣経済の浸透が地方ではゆっくりと進んだからである。成功した都市住民を豊かにしたような新しい事業や産業を起こす場は、荘園制のもとでは生まれにくかったのだ。イングランドで資本家農民が出現し、耕作地が囲い込まれて牧草地となり、小作人が賃金労働者に変わったのは十六世紀になってからだった。そして、歴史家R・H・トーニーの言葉によれば、「農奴はいなくなったが、救貧法が制定される」ことになってしまったのである。

にほんブログ村 歴史ブログ 世界史へ
にほんブログ村

| | コメント (0) | トラックバック (0)

浜林正夫 『世界史再入門 歴史のながれと日本の位置を見直す』 (講談社学術文庫)

数ヶ月前に新刊情報の記事の中で、名前だけ出した本を通読。

さほど厚くない、一冊モノの世界史。

私程度の知識しか無い人間が、自分に合わないからといって一刀両断に切り捨てるのは、どんな本であれ宜しくないでしょうし、そんなのを読まされる方も鬱陶しいのはわかっているつもりですが、これについては言わずにおれない。

はっきり言って長所が全くわからない本でした。

「まえがき」で使用方法として、まず各章のまとめの節を先に読んでもらっても良いと書いてあって、こういうふうに明解な指針を読者に示してくれるのには好感が持てる。

しかし、そのまとめを読んでみても「うーん」と思うだけで、全世界史を一望の下に理解することができる認識軸を提示してくれているとは到底思えないし、さしたる感銘も受けない。

(著者には「そりゃ君の頭が悪いだけだ」と言われるかもしれませんが。)

その前後に記されている大まかな史実の流れは、高校教科書の記述を薄めに薄めた絞りかすみたいな文章で、全然面白くない。

最後の「補論 世界史像の再構成へむけて」はまあ興味深い点が無いでは無いが、著者と同じ考えを持てない読者にとっては「???」の連続ではないでしょうか。

(なお、現代史の部分で著者の相当に左派的な立場が打ち出されていますが、そういうことだけで文句を付けているのではありません。)

同じ世界史概説でも、ウィリアム・マクニール『世界史』(中央公論新社)(現在は中公文庫に上・下巻が収録)や宮崎市定『アジア史概説』(中公文庫)と比べれば、天と地ほどの差を感じる。

この両書とはそもそもページ数が違うと指摘されれば、やや対象範囲がせまいとは言え、同じく薄い文庫本である松田壽男『アジアの歴史』(岩波現代文庫)と比べても役に立つ視点が少な過ぎると言いたい。

「読む価値無し」と断言する気はありませんが、積極的にお勧めする気もゼロです。

にほんブログ村 歴史ブログ 世界史へ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ジョゼフ・ギース フランシス・ギース 『中世ヨーロッパの農村の生活』 (講談社学術文庫)

ちょっと前に記事にした『中世ヨーロッパの都市の生活』の姉妹編。

同じ講談社学術文庫に『中世ヨーロッパの城の生活』も収録されている模様。

本書では13世紀イングランドのエルトンという村を定点観測することで、中世農村の暮らしを再現している。

村の概観と領主の支配、村人の身分・階層別と日々の生活、共同で行なう農作業と牧畜、冠婚葬祭と教会、司法の実態などが史料に忠実に描写されている。

厳しい秩序と支配の下にありながら、慣習という強固な拠り所を武器にして、自らの利益を守る農奴と自由農民の姿が印象的。

現在よりもはるかに過酷で貧しい生活を送ってはいるが、本質的には我々とあまり変わらない心性を持った人々が織り成す悲喜劇が垣間見れる。

終章の黒死病とワット・タイラーの乱を経た中世末期の記述もなかなか面白い。

本書も、細かなところに引っ掛からずざっと一読してイメージをつかむための本なので、下手に何かを憶えようとしない方が良い。

最初はやや取っ付きにくいが、途中からは読むスピードも上がるでしょう。

結構面白いのでお勧めします。

にほんブログ村 歴史ブログ 世界史へ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ジョゼフ・ギース フランシス・ギース 『中世ヨーロッパの都市の生活』 (講談社学術文庫)

私にしては珍しく社会史の本。

中世ヨーロッパと言っても、時代も地域も広範囲に及ぶが、本書では西暦1250年におけるフランス・シャンパーニュ地方の都市トロワを取り上げ、その社会を詳しく描写している。

この地方の領主シャンパーニュ伯の系図などが出てきますが、こんなのは別に憶える必要は無いでしょう。

社会史の本ではあるが、具体的な事実を記した生活史であり、抽象的な心性史・精神史ではないので、私でも楽しく読める。

著者は専門の歴史研究者ではなくアメリカの作家で、原著は1960年代末に書かれたもの。

そのせいか、難解な部分は全く無く、平易で読みやすい。

当時の都市住民の衣食住と冠婚葬祭、市政の運営と広範な経済取引、教会の文化事業についてわかりやすく述べられている。

役人、職人、商人、聖職者、学生が織り成す様々な活動を生き生きと知らせてくれる。

なかなかの本だと思います。

中世ヨーロッパ史の副読本として、たまにはこういう本を読むのも良いでしょう。

にほんブログ村 歴史ブログ 世界史へ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

加藤祐三 川北稔 『アジアと欧米世界 (世界の歴史25)』 (中央公論社)

タイトルを見て、主に19世紀におけるアジアの植民地化の歴史をざっと叙述する本なんだろうなあと思って目次を眺めたら、何やら様子が違う。

広く近代以降のアジアと欧米諸国との貿易や国際関係について概観する内容らしく、「そういうテーマ史だけで一巻費やすの?」と奇異の念に捕われる。

ギリシア・ローマ史のように明らかなページ数不足と思われる地域と時代もかなりあるのに、この配分は、意気込みは買うにしてもやはりちょっと変じゃないかと言いたくなる。

そういうモヤモヤした気持ちを抱えながら読み始めたが、最初の二章は特に悪くもないが、大して面白くもない。

「こりゃやっぱりハズレかな」と思いながら、川北氏(『砂糖の世界史』の著者)執筆の第3章以降に入ると、印象が全く一変する。

極めて良質で有益な経済史。

「近代世界システム」、「17世紀の危機」、「ジェントルマン資本主義」などの用語を極めて平易に説明してくれている。

大航海時代以降、世界規模の貿易システムが展開した後、ヨーロッパの生活革命に連動して貿易構造が変化し、それが覇権国の盛衰を引き起こす様を、まるで手に取るようにわかりやすく理解させてくれる。

私は他の概説書で、これほど面白い経済史を読んだことがない。

素晴らしい。傑作。

上記『砂糖の世界史』を読むより、少々手間でも本書を読んだ方がはるかに良いと思う。

これには本当に感心させられました。

川北氏の担当章が終わると、加藤氏には申し訳ないのですが、かなりテンションが下がります。

しかし「拙著『イギリスとアジア』(一九八〇年)」という言葉を見て、「えっ」となる。

私は未読ですが、このタイトルの岩波新書はかなり前から知ってましたし、結構有名ですよね。(追記:←と、最初にこの記事を書いたときには思ったのですが、ひょっとして『イギリスと日本』と勘違いしていたんではないかと、読み返して気付きました。)

調子が良過ぎるかもしれませんが、それを知ると、何か前半の文章よりかは面白いと思えるようになった。

日本の開国を扱った章では、幕府の外交をその当時としては最善に近いものだったとして高く評価しているのが印象的。

最初と最後はもう一つですが、中盤は非常に面白くてためになる。

相変わらず自分の第一印象は当てにならんなと反省させられました。

あと、最後の参考文献欄と年表を眺めていて思ったことを書きます。

この巻だけじゃなく中公新版の全集すべてに当てはまるのですが、参考文献がただ並べてあるだけで、著者のコメントが一切付いていないのが非常に残念です。

講談社旧版の全集ではコメントが付されており、これがものすごく助かる。

各書の特徴や難易度、適切な用途など、ごく簡略に一言二言書かれているだけでも初心者にとっては極めて有益で参考になるんですが。

それと年表があまり役に立たないことが多い。

ほとんどの巻で上段が主要対象地域、中段がその他の地域、下段が同時代の日本という構成で、特色が無い。

狭いスペースで無理に同時代の事項を付け加えているので、肝心の主要史実の年表はただ漫然と並べてあるだけという感じになってる。

もうちょっと工夫してわかりやすく有益なものに出来ないでしょうか。

一般向け啓蒙書として、そういう行き届いた配慮があればなお良かったのにと思ってしまいました。

にほんブログ村 歴史ブログ 世界史へ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

谷川稔 北原敦 鈴木健夫 村岡健次 『近代ヨーロッパの情熱と苦悩 (世界の歴史22)』 (中央公論社)

19世紀ヨーロッパ史の巻。

第1部がフランス・ドイツ史、第2部がイタリア史、第3部がロシア史、第4部がイギリス史という構成。

こう書くと、いかにも大国中心の偏った記述とも思われるが、実際この時代の主要な史実はほとんど上の五か国の歴史の中に収まってしまうのだからしょうがない。

この時代のスペイン・ポルトガル・オランダ・北欧諸国などの歴史を同じ密度で叙述するのは不可能だしその意味も無いと思うので、これでいいと割り切る。

それにスペイン立憲運動やベルギー独立などの重要史実は一応触れられているので、問題無い。

さて、肝心の内容ですが、かなり良くできていると思われます。

事実関係でそれほど詳細な記述は少ないですが、要領がよく流れるような説明ですっきりと頭が整理されます。

しばしば通説と異なった史的解釈が記され、それが非常に興味をかき立てて面白い。

「従来はこう考えられてきたが、最近の学説ではこうだ」という形で、読者に斬新な視点を平易に持たせてくれる。

特に第1部と第4部にはそれを感じる。

以下、脈絡の無いメモと感想。

第1部では、フランス革命とその反作用として生じたドイツ・ナショナリズムの双方に冷ややかな視線を向けるゲーテや、自身が最も愛着を持つプロイセンの伝統が統一ドイツに吸収・消滅させられることを恐れて、皇帝即位を忌避し泣き崩れるヴィルヘルム1世などの描写が非常に興味深い。

歴史の多面的な見方を教えてくれる良質な文章。

なお、ゴーロ・マン『近代ドイツ史』からの引用がしばしば載ってますが、この本は絶対に読むべき傑作です。

セバスティアン・ハフナーの『ドイツ帝国の興亡』『プロイセンの歴史』も是非参照して下さい。

第2部について、マックス・ガロ『イタリアか、死か』の記事で教皇領の北側三分の二が普仏戦争を待たずに併合されてるようだと書いたが、やはり1860年ガリバルディのシチリア・ナポリ征服直後に教会国家のマルケとウンブリアの二地域が住民投票を経て併合されたと簡単に書いてあった。

第3部では書くべきことは特に無いが、過去の帝政ロシアでの上からの改革の再評価や農村共同体(ミール)の認識と評価の変遷などが面白かった。

第4部、まず19世紀イギリスでの地主階級の優越が語られる。

地主階級は爵位を持つ貴族とそれを持たないジェントリに分かれ、ジェントリのうちには准男爵・騎士爵の保有者があり、それ以外のジェントリがエスクワイア(スクァイア)と呼ばれる(このスクァイアという言葉は確かアンドレ・モロワ『英国史』に頻出したはずだから、それを読む際覚えておいたほうが良い)。

産業革命によって台頭した中流階級は地主階級を敵視し打倒しようとするのではなく、彼らに強い憧れを持ち自らもそれと同化しようとする。

この上流階級の融合が社会の安定と保守的漸進的改革を可能にし、その意味ではイギリスにはブルジョワ革命は起こらなかったと書かれているのが興味深い。

あと、本文ではなくヴィクトリア女王の肖像画下の説明で、女王即位とともにジョージ1世以来のイギリスとハノーヴァーとの同君連合が終わったと書かれている。

これは高校世界史の範囲外なので、私はモロワの『英国史』を読むまで知らなかった。

女王即位から約30年後、普墺戦争でハノーヴァーはプロイセンに併合されるが、この時まで同君連合が続いていたらどうなっていたか、想像するとなかなか面白い。

本巻は極めて良好な出来だと思います。

個人的評価としてはイギリス史>フランス・ドイツ史>ロシア史>イタリア史といった感じですが、どの章も平均レベルは十分クリアしているはず。

同じ時代を扱った中公旧版『ブルジョワの世紀』、河出版『ヨーロッパの栄光』、文春大世界史『自由と統一をめざして』と比べれば(講談社旧版は未読なのでわかりません)、やはり本書がずば抜けてます。

現在の歴史学に沿った叙述形式と歴史解釈に則って書いても、これだけ面白いものができるという良いお手本と言えるのではないでしょうか。

ヨーロッパ史概説として、17巻『ヨーロッパ近世の開花』と同じく、手堅い良作。

それにひきかえ、中世史の第10巻は・・・・・・と言いたくなりますが、しつこいので止めておきましょう。

にほんブログ村 歴史ブログ 世界史へ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

長谷川輝夫 大久保桂子 土肥恒之 『ヨーロッパ近世の開花 (世界の歴史17)』 (中央公論社)

16世紀からフランス革命直前までの近世ヨーロッパ史概説(西欧だけでなく東欧・ロシアを含む)。

本巻著者のうち、長谷川氏は『聖なる王権ブルボン家』の、土肥氏は『よみがえるロマノフ家』の著者。

その二書と同じく、本書も非常に読みやすく整理された叙述で大変良い。

冒頭の宗教改革の説明からして明解でわかりやすい。

大久保氏の文章は初めて読みますが(ただし巻末の著者紹介を見るとジェフリ・パーカー『長篠合戦の世界史』の訳者らしい)、その担当であるスペイン・イギリス・オランダ史も手堅い作り。

後世の我々は、大英帝国に繋がる歴史を知っているので、イギリス史に特別の重要性を付与しがちだが、近世初頭においてイギリス(というか正確にはイングランド)はあくまで辺境の小国に過ぎなかったという視点を一貫させているのが特徴。

また、イングランドとケルト周縁(ウェールズ・スコットランド・アイルランド)との交流・軋轢を詳しく記しているのも興味深い。

いわゆる「絶対君主」「絶対王政」(最近では「新君主政」「ルネサンス国家」と言うそうですが)の歴史を主題としながらも、決して視野の狭い政治的事件史に堕していない。

極めてバランスの取れた叙述形式で、安心して読める。

最近の研究による定説の修正なども、難解にならない形でさり気無く触れられているのが親切。

同じヨーロッパ史概説でも、第10巻の中世ヨーロッパ史とは雲泥の差。

本書のような叙述なら何の抵抗も無しにスラスラ読める。

欠点としては、記述の質ではなく、量の面での粗さがある。

ピューリタン革命の経緯などは極めて簡略に済まされているように、テーマによっては軽く扱われ過ぎていると感じられる部分が多い。

そもそもページ数が足りない。

同じ著者と対象で、二巻費やして書いてくれれば、もっと素晴らしい本になったはず。

基本的には良書だと思いますが、手放しで絶賛というわけにもいかないなあというのが僭越ながら私の感想です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

佐藤彰一 池上俊一 『西ヨーロッパ世界の形成 (世界の歴史10)』 (中央公論社)

目次見た瞬間、嫌な予感がしました。

中世ヨーロッパ史の巻ですが、全編通じて社会史・生活史・心性史で埋め尽くされている。

このシリーズでは多くの巻がそうですが、この巻ほど徹底されると唖然とする。

国家・民族を単位にして、支配階層が政治権力をめぐって惹き起こした事件のあれこれを叙述するだけの、視野の狭い通史はもはや書くべきではない、という意見には同意せざるを得ないが、本書のような記述は逆の極端に走っているように思えてならない。

とにかく、事件史的記述が何にも無い。

背景説明の一部以外で著名な歴史人物の名が出てくることもほとんど無い。

ここまでくるとある意味凄い。

文章はよく練られていて巧いと思うし、実際途中で挫折することなく、かなりのスピードで通読できた。

これは、しかし、細々した史実を他の本でマスターした人がざっと読んで視野を広げられる本であって、初心者が基礎固めのために読む本ではない。

旧版の掘米庸三『中世ヨーロッパ』も確かに社会史・生活史の記述が少なくなかったが、しかし政治史の概略を読者に伝えようという努力を放棄することなく、はるかに面白さを感じられる本だった。

本書では具体的史実に関してメモすべきことも無い。

著者の力量は認めるし、悪書とまでは言いません。

しかし率直に言って、読み終えた後、失望と徒労感を禁じ得ませんでした。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

樺山紘一 『ルネサンスと地中海 (世界の歴史16)』 (中公文庫)

以前読んだことのあるこれをこの度10年ぶりに再読。

記事にするのが二度目なので、ここのタイトルは文庫版にしておきます。

単行本の記事はこちら

ルネサンス史ということで当然文化史が中心。

他の国々にも触れられているが、イタリアに極めて大きな比重を置いた記述。

カテゴリは「全集」と「ヨーロッパ」にしてますが、「イタリア」でも別に構わないかなというほど。

文化史に加えて社会史的記述が多く、政治史はごく大まかな見取り図としてだけ提供される。

それゆえ単行本の記事で書いた通り、私には向いていない本ということは言える。

しかし、再読した感想は予想以上に良かった。

私には十全に感じ取れないとは言え、全体的に非常な高尚な印象を受ける叙述。

表現も巧いし、含蓄がある。

流れるような文章でスラスラ読めるので、簡単に読了できた。

ルネサンスの通俗的な理解を近年の研究成果によって訂正しつつ、各章の最後で著名な芸術家・文化人・パトロンの肖像を描くという構成は見事。

「インテルメッツォ<人びとの肖像>」と題された伝記部分は(単行本では)見開き2ページという短さで各人の事績と人物像を鮮明に記憶に刻み込んでくれる。

通常の記述部分でも、例えばカトリックとプロテスタントの人間観の違いなど目の冴えるような明解な説明で、非常にわかりやすく面白い。

政治史的記述もごくわずかとは言え、ポイントを突いたものでルネサンスの舞台装置の理解を深めてくれる。

前の記事では、私以外の人にとっては良書ではないかと控え目に書きましたが、再度読んでみると、これはかなりの名著ではないかと思えてきました。

中公新版「世界の歴史」の第一回配本にふさわしい良書と言えましょう。

是非お勧め致します。

なお同時代を扱った本で、事実関係の記述により詳しいものとしてモンタネッリ、ジェルヴァーゾ『ルネサンスの歴史 上・下』(中公文庫)があります。

こちらも素晴らしい。

人物を中心に興味深いエピソードを常に交えて近世初頭のヨーロッパ史を全く飽きさせずに読ませる。

初心者向け啓蒙書としては最高レベルの本。

以前にも書きましたが、モンタネッリのイタリア史シリーズを全巻通して翻訳出版してもらえないものでしょうか。

『ローマの歴史』(中公文庫)と『ルネサンスの歴史』がこれだけロングセラーになっているのだから、出せば絶対売れると思います。

中央公論の担当者様、是非御一考をお願い致します。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

堀米庸三 『正統と異端』 (中公新書)

1964年刊の古い本で、中公新書の通し番号では57番とかなり早い。

現在は品切れのようですが、本書も中公新書の世界史関連本では超定番といった地位を占めていた模様。

古代から中世にかけての各種異端派をざっと紹介してあるだけの本かと思ったら、より焦点を絞った叙述で内容はなかなかハード。

新書版にしてはレベルが高い。

洗礼、叙品、聖体など、カトリック教会における秘蹟の効力についての論争が本書での主なテーマになっている。

客観主義的事効論(聖務重視論)=正統派と、主観主義的人効論(執行者重視論)=異端派との対立を軸にして、古代末期から中世盛期にかけての教会政治の流れを概観する本。

ローマ末期、デキウス帝、ディオクレティアヌス帝による迫害で一度棄教した聖職者による秘蹟が有効か否かという論争がおこり、アフリカを中心にしたドナトゥス派という異端者たちは無効論を主張し、寛容な立場を採るカトリック教会を攻撃した。

これは道徳的に厳格といえばそうだが、秘蹟の人効論を採った場合、教会内部で常に潜在する教義や利害の対立に絡み、対立者同士が相手側の秘蹟無効を宣言し合うと、宗教的統一を根底から覆す恐れがあった。

よって適切な執行条件さえ守られていれば秘蹟は有効である、なぜなら真に秘蹟を与えるのは神であって、執行者はその道具に過ぎないからという事効論が教父アウグスティヌス始め正統派の立場となる。

しかし、初期中世を通じてアウグスティヌスの教えはカトリック教会内で徹底されていたとは言えず、中世盛期に入って問題が生じる。

叙任権闘争の過程で、教皇グレゴリウス7世が人効論に近い立場を採り、反対派の叙階を含む秘蹟の無効宣言をしばしば行い、その手段の威力もあって1077年のカノッサの屈辱など一応勝利を得る。

その後、1122年ヴォルムス協約に向けて皇帝権との妥協の目処が立つと、カトリック教会は人効論を封印し、再び事効論に復帰しようとする。

しかし、叙任権闘争・十字軍によってかき立てられた宗教的情熱は人効論を武器にして既存の教会からの分離・自立を目指すアルビジョワ派(カタリ派)、ワルド派などの異端運動を惹起する。

かつてグレゴリウス改革の主役だったクリュニー修道会や11世紀末創設のシトー修道会は、その頃すでに急速に堕落しており、民衆の激情を吸収することができなかった。

そこで登場したインノケンティウス3世は、フランチェスコ修道会・ドミニコ修道会という托鉢修道会を認可し、宗教的情熱の捌け口を設け、それをカトリック教会の枠内に留めると同時に異端者の取り込みにも力を尽くす。

このインノケンティウス3世は中世教皇権絶頂期の教皇として高校世界史でも必ず暗記しなければならない人物ですが、その事績はジョン王破門を始めとする諸君主の圧伏、第4回十字軍提唱、「教皇権は太陽、皇帝権は月」という言葉など外面的なことだけが教えられ、その人間性はあまり知られていません。

それだけで判断するとただ権勢欲の強かった人物といったイメージだけを持っていた人もいるかもしれません(というか私が正にそうです)。

しかし本書を読んでそのイメージが変わりました。

最終的にアルビジョワ派弾圧を行ったものの、各種の異端認定については性急な決め付けを避け、出来得る限り慎重な調査と寛容を指示している。

また異端抑制においては、上からの強圧だけでは効果は無く、正統信仰の宣教者が異端者と同じく清貧の「使徒的生活」を行い、彼らと交わりながら粘り強く説得することが必要だとしている。

あからさまな賞賛の言葉は無いものの、著者の筆致からはこの教皇への好感が滲み出ている。

ある人物や史実について意外な一面を知り、今まで持っていたイメージを覆されるというのが歴史を学ぶ愉しみの一つですが、本書ような入門書でもそれを味わうことができるという一つの例ですね。

もちろんより高度な段階でさらにその印象が変化するということもあり得ますが、ひとまずはその通り理解しておけばいいでしょう。

以上、自分なりに内容を要約してみましたが、乏しい知識ゆえの誤読や用語の不正確さなどがあるかもしれませんので、ご自身で読んでご確認下さい。

最初は取っ付きにくい本ですが、短いページ数ながら読了するとかなりの充実感があります。

新書版でありながら比較的高度な内容、それでいて初心者でも十分読み解ける叙述。

これはなかなかの名著だと思います。

こういう手堅い啓蒙書はやはり常時在庫してもらいたいですね。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

橋口倫介 『十字軍』 (岩波新書)

岩波新書世界史関係の超定番本でしょうか。

高校生の頃から書店で見かけていましたが、通読するのは今回初めて。

それほど面白くはないが、1096年の第一回十字軍から1291年マムルーク朝の攻撃によるアッコン陥落までを手堅く叙述している。

標準的概説としてはまあまあじゃないでしょうか。

200ページ余りの、新書としては標準的分量でそこそこの知識が得られるので、気の向いた時一読しておくのも悪くないでしょう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

モーリス・キーン 『ヨーロッパ中世史』 (芸立出版)

またまたまたまた買っただけの本です。御免なさい。

大学時代の一時期、世界史関係の読書においては日本人著者の本より外国人著者の翻訳本を優先して読むべきだという奇妙な考えを持っていたことがある。

そういう観点からこれも買ったはず。

全く歯が立たないほど晦渋という本でもなく、オーソドックスな通史だったと思うが結局碌に読まないまま処分してしまいました。

変な思い込みから読めそうにない本を無理に買ってもしょうがない、というのが本書から得た唯一のものでした。

ただ外国人著者でも評価の定まった古典的著作では、翻訳を出して欲しいものはかなりあります。

カーライル『フランス革命史』とかバーナード・ペアーズ『ロシア史』とかホイットニー・グリズウォルド『米国極東政策史』、ポール・ケネディ『英国海上覇権の盛衰』など。

どこかの出版社がこういう世界史関係の名著を翻訳して安価に提供してくれるシリーズを創刊してくれないかなあとときどき夢想します。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

山本茂 他 編 『西洋の歴史 古代・中世編』 (ミネルヴァ書房)

大学に入って「これで思う存分世界史関係の好きな本が読める」と喜び勇んだ時期、一番初めに買った本。

同時に本書の姉妹版の『近現代編』や有斐閣の『概説東洋史』なども買った。

しかし結局碌に読まないうちに処分しました。

こういう平凡な教科書的書物をいくら読んでも面白くないし、頭に残らない。

この種の概説は余程興味深い史観によって叙述されたものでない限り、強いて読む必要がない。

それより個々の時代や人物について面白い本を読んで、徐々に知識を積み重ねていくのが、私のような初心者が世界史を学ぶ本道だと思う。

買ってカネをドブに捨てたようなものだったが、以上のようなことを悟る授業料だと思えば高くなかったと今では感じる。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ウィリアム・マクニール 『世界史』 (中央公論新社)

一冊の本で全世界史を物語ることは可能だろうか。

毒にも薬にもならない平板な教科書的記述ではなく、一人の著者によって書かれその人独自の史観が感じられ一貫した読物となっている一冊の世界史というのは有り得るか。

この問いに肯定的に答えるのは難しい。

今まで紹介した本の中では、宮崎市定氏の『アジア史概説』(中公文庫)および『アジア史論』(中公クラシックス)が最も近いかもしれない。

本書は以上の宮崎氏の著書と並んで、その稀な例外となっている、アメリカ歴史学界の長老が書いた世界史概説。

人類史における諸文明の興亡の明快かつ的確な見取り図を提示してくれる。

例示される史実とその説明は、無味乾燥な簡略さと晦渋な煩雑さの双方を避け深く説得的なものとなっている。

読後感は予想よりはるかに良かった。

定価3990円と結構値が張りますが、品切れにならないうちに買って手元に置いておくのが宜しいかと。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

岩間徹 『ヨーロッパの栄光 (世界の歴史16)』 (河出文庫)

中公旧版「世界の歴史」15巻『ファシズムと第二次大戦』で、岩間氏が執筆したスターリン時代のソ連史の叙述に感銘を受けたので購入。

19世紀ヨーロッパ史ですが、感想は「普通」ですね。

期待が大きすぎたのか、あまり面白いとは感じませんでした。

この時代の概説としては標準的で、そんなに悪い本ではないと思いますが。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

樺山紘一 『ルネサンスと地中海 (世界の歴史16)』 (中央公論社)

中公新版「世界の歴史」の中の一巻。確かこの巻が初回配本だったと思う。

中公旧版を通読していたので、この新版シリーズが出ると聞いて挑戦してみるかと思ったのだが、結局読んだのは本書ともう一冊だけでした。

私のように根気の全く無い人間には無理です。

もちろん世界史全集をどれか一つ通読しようと決意された方にとっては非常に有益な選択肢だろうと思います。

これは最初に出たものとして、かなり気合を入れて読みましたが、あんまり面白くないですねえ。

こういう近世初頭のルネサンス史はどうしても文化史が中心になりますから、私の趣味性向からいうとかなり守備範囲外になってしまう。

ただ私みたいに偏った人間以外の読者が読めば良書のような気がします。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

堀米庸三 『中世の光と影 上・下』 (講談社学術文庫)

元は文芸春秋「大世界史」シリーズの一巻で、その文庫化。

同じ著者の中公旧版「世界の歴史」3巻「中世ヨーロッパ」に比べると、紙数が限られているせいか、エピソードや挿話の類が少なく物語性に乏しい。

中世史の大局的な見方についての史論が多く、そういう点で勉強になるところもあるが、あまり面白くはない。

私にとってはもう一つでした。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

尾鍋輝彦 『カイゼルの髭 (大世界史19)』 (文芸春秋)

またまた文春「大世界史」シリーズ。(たぶん)ドイツ統一から第一次世界大戦勃発までが記述範囲だったと思う。

数日前の『自由と統一をめざして』と同じく、ごく普通の出来。

ただ、ビスマルクの同盟外交の経緯が詳細かつわかりやすく説明されていた印象があるので、それが一番の取り柄か。

読めばそれなりに役に立つところがあると思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

矢田俊隆 『自由と統一をめざして (大世界史17)』 (文芸春秋)

「大世界史」シリーズの19世紀ヨーロッパ史。

結論を言うと、面白くないです。

ごく平凡な記述で特筆すべき点は無し。

このシリーズの現代史の執筆陣は、衛藤瀋吉・林健太郎・野田宣雄・猪木正道・高坂正堯と例えようもないほど豪華で素晴らしいのだが、他の時代は当たり前だが玉石混交ですね。

ただそもそも読む前に期待しすぎだったのかもしれないし、本書も悪いと言うほどでもないのかもしれない。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

岡崎勝世 『聖書vs.世界史』 (講談社現代新書)

旧約聖書とそれに基づく伝承から導かれた中世ヨーロッパのキリスト教的世界史観が、年代的に極めて古い、古代エジプトおよび中国についての知識が普及してくることによって揺さぶられていく、その過程で様々な学者がいかに「辻褄合わせ」をしたかといったことを主題にした本。

あまり知られていない分野について、平易に説明してくれており、内容もなかなか面白い。

正統的な世界史知識を得る本ではなく、好事家的研究と言えばそうだが、最後まで読めばそれなりに役に立つと思います、はい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

井上幸治 責任編集 『世界の歴史 12 ブルジョワの世紀』 (中公文庫)

10巻を乗り越え、11巻で息抜きして、さあやれやれと思っていると、この12巻でまた頭痛がしてきた。

ウィーン会議から普仏戦争までのヨーロッパの黄金時代を描いた19世紀史。

メッテルニヒはただの反動、急進派の暴力は常に正しい、挙句の果てに終章はマルクスのパリ・コミューン礼讃で幕を閉じるという構成で、まあ正直言ってウンザリである。

フランスの真の偉大さは革命の馬鹿騒ぎを繰り返したことではなく、ジャコバン独裁とパリ・コミューンの不幸から学んで全体主義への免疫をつけ、20世紀に近隣諸国がその種の疫病に冒されたとき、際どいところで何とか踏みとどまったことであるといった視点は微塵も無い。

「進歩」への盲信がせっかくの物語的面白さを台無しにしている。

本シリーズでは10巻に次いで出来が悪い。

読むに耐えないとまでは言いませんが、進んで再読しようとは思いませんね。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

大野真弓 責任編集 『世界の歴史 8 絶対君主と人民』 (中公文庫)

よくまとまった通史で、物語としての面白さも結構あると思うのだが、「市民革命」を経なければ真の近代国家とは言えないという単純な信仰がいちいち鼻につく。

そういう視点からの、ドイツやロシアの啓蒙専制君主への批判や揶揄が的外れとしか思えず、読んでいて不快である。

時代を考えればしょうがないんですかねえ。

中公文庫で旧版「日本の歴史」が再刊行されており、各巻に新たな解説が書き下ろされていて、マルクス主義的色彩の濃い近現代の巻でも、基本的に旧版の視点を否定しない観点から書かれているのだが、『太平洋戦争』の巻の解説だけは本文の傾向を全く無視して、戦争責任論やいわゆる「天皇制ファシズム」論に否定的な文章で書かれている。

この旧版「世界の歴史」シリーズも再文庫化の際には、そういう行き届いた解説を載せてもらいたいものである。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

松田智雄 責任編集 『世界の歴史 7 近代への序曲』 (中公文庫)

いよいよ近現代史入り。以後の巻をかなり腐すことが多くなるでしょうが、あくまで私の個人的考えに基づく感想ですので、割り引いて読んでください。

さて本書ですが、特に著者の史観や意見で引っかかるところはなく(ドイツ農民戦争とその際のルターの態度への評価は除く)、その意味ではスラスラ読めたのだが、どうもすっきりしない。

最初に「必ずしも年代順の政治史的記述方法は取らない」という意味のことを(確か共著者の一人の会田雄次氏が)書いていたが、確かにそういう傾向があり、私にとってあまり好きではない形の叙述であった。

だが、そもそもこの辺のルネサンス、宗教改革の歴史は年代記的叙述で記していくことが難しいのだろうから、文句を言ってもしょうがないのかな。

私にとってはイマイチだったが、多くの人にとっては良質な入門書なのかもしれない。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

堀米庸三 責任編集 『世界の歴史 3 中世ヨーロッパ』 (中公文庫)

前巻に引き続き手堅い叙述で読ませる本。

初学者が教科書レベルの次に読む本として最適。

この辺までは本当に安定した記述で安心である。

かと言ってものすごく面白いというわけでもないので、特筆すべきことも無い。

素っ気無い言い方ですみませんが、まあ中世ヨーロッパ史を一冊通読しておくかという場合には読みやすくて便利な本です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

フランソワ・ギゾー 『ヨーロッパ文明史』 (みすず書房)

著者のギゾーについては「選挙権の拡大を要求した人々に“金持ちになり給え”と言い放ち、二月革命で打倒された反動家」というのが通り相場だろうし、私もかつてはそう思っていた。

しかしオルテガ曰く「大革命後のヨーロッパがなすべきことを明確に認識した唯一の人々」である、保守的自由主義の思想家として、学ぶべき点が多いのではないかと思い、本書に取り組んだ。

しかし眠い。最後まで読み通した本の中で、本書くらい眠くなったものはない。

ほんの1、2ページ読んだだけで猛烈な睡魔が襲ってきた。

翻訳が悪いのかなあと思ったが、自分の頭の悪さを棚に上げちゃいけませんね。

ランケ『世界史概観』と同じく、例示されている史実を漫然と読むのではなく、著者の史観をしっかり読み取ろうという強く意識しながら読む必要がある。

要はヨーロッパの歴史においては、単一の理念や勢力が完全に勝利を占めたことは無く、常に一定の多様性が保たれており、それがヨーロッパの自由や発展の原動力になったという大意だけはわかりました。

できれば再読したいし、これに影響を受けた福沢諭吉の『文明論之概略』も読んでみたいと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

村上陽一郎 『ペスト大流行』 (岩波新書)

これは何のきっかけで読んだのかな。

たぶん栗本慎一郎『パンツを棄てるサル』(光文社)に引用されてるのを見たからだと思う。

ただ内容はあまり印象に残っていない。中世末期の黒死病の流行がメインテーマのはずだが・・・・・忘れた。

著者のネームバリューからして良書のはずであるから、機会があれば再読したい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

森島恒雄 『魔女狩り』 (岩波新書)

これも大学の授業で読まされた本。

「暗黒の中世」ではなく、むしろルネサンスと宗教改革を経た近世初期に「魔女狩り」の狂気が最も荒れ狂ったこと、カトリック側に劣らず、プロテスタント側も多くの犠牲者を死に追いやったことが詳細に記されている。

半ば嫌々読み始めたものだが、今となると読んでよかったなと思う。

ヨーロッパ史の重要な一面を知ることが出来る。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

レオポルト・ランケ 『強国論』 (岩波文庫)

17世紀ルイ14世治下のフランスの覇権が崩壊していく過程と大革命後ナポレオン治下に再度覇権を求めて膨張するフランスの挑戦が失敗するまでを描いたヨーロッパ史概説。

理念史といった感じの『世界史概観』と違って、通常の歴史書に近く読みやすい。

それと非常に短いのも良い。岩波文庫だとその薄さに驚く。

ポール・ケネディの『大国の興亡』が叙述の手本にした本らしいが、量的には全く段違いである。

戦前に出た訳本で旧字体で記されているが何とか読める。

10年くらい前に復刊されてから品切れ状態。例のごとく気長に重版再開を待ちますか。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

阿部謹也 『刑吏の社会史』 (中公新書)

これまでの記事でお分かりの様に、私は社会史・経済史・文化史などが好きではない。

誰それが権力を握って戦ってこういう国を建てたといったごく初歩的な政治史が、私にとっての「歴史」である。

要は歴史好きな小学生がそのまま大きくなってしまったような人間なのである。

中世ドイツの社会史を軸に、実に多方面で活躍し、多くの業績を残して先日亡くなられた著者のこの本も自発的に買ったのではなく、大学の教養で取った歴史学の講義でテキストとして読まされたものである。

半ば嫌々読み始めたのだが、論旨の明快さと意外さに蒙を啓かれる思いがした。

社会史といっても面白いものはこれほど面白いのかと教えられた。

だがこれだけ有名な著者でも、読んだ著作は現在まで結局この一冊だけ。

皆さんは私よりもうちょっとバランスの取れた世界史読書をなさるようお勧めします。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

レオポルト・ランケ 『世界史概観』 (岩波文庫)

近代歴史学の確立者ランケによるローマ帝国からフランス革命後までの西洋史概説。

高校教科書にも載ってる史家の著書だし、薄いので手ごろだろうと読み始めたのだが、正直かなり退屈であった。

読み方が悪いからそれも当然で、文庫本一冊だけで全ヨーロッパの歴史を物語る本なのだから、字面だけ追ってさらっと読むだけでは強い印象も受けず、何も頭に残らないのも当たり前である。

要はランケの史観を汲み取ろうと強い目的意識を持って読み通さなければいけないということなんでしょう。

末尾のフランス革命後の箇所で、もし今後人民主権の理念が全面的勝利を占めるならば、ヨーロッパ文明は大きな危機を迎えるだろうとの展望が語られているようだ。

彼の予想とは異なり、立憲君主制の確立でそれを防ぐことはできず、人類は20世紀の壮大で悲惨な自殺未遂へと突き進んでしまった。

その辺の大衆社会化の恐るべき危険という現実に裏切られた楽観的な見方がランケの「限界」と言われてきたようである。

しかし「民主」や「平等」を疑うことすら知らない今の凡庸な学者からは全く隔絶した位置にいることは間違いないだろう。

現在岩波文庫は品切れ。いつかは復刊するでしょうが、ちくま学芸文庫から『世界史の流れ』というタイトルで翻訳が出ています。

こちらは現在も新刊として手に入るようですので、宜しければどうぞ。

| | コメント (0) | トラックバック (1)