遠藤雅子 『オーストラリア物語 歴史と日豪交流10話』 (平凡社新書)
平凡社新書はひょっとして初めてか。
初版が2000年と少々古いが、シドニー・オリンピックに合わせて刊行されたものらしい。
先日の『カナダの歴史がわかる25話』と似たタイプの本。
これも史的エッセイという感じ。
全10章だが、普通のオーストラリア史は第6章までで、1901年の自治領、オーストラリア連邦成立までが叙述範囲。
残り4章は、普通の通史は語られず、日豪関係を概観する記述。
例によって偉そうな感想で恐縮ですが、あまり内容が濃いとは思えない本。
普通考えると、竹田いさみ『物語オーストラリアの歴史』(中公新書)を再読した方がいいんでしょうが、しかしオセアニアカテゴリに、とにかく何か追加したいという気持ちが勝って手に取る。
最小限の事項だけメモすると、1642年オランダ東インド会社のタスマンがタスマニア島とニュージーランドを発見。
七年戦争勝利後にイギリス海軍が派遣したジェームズ・クックの調査隊が1770年オーストラリア大陸東岸に到達。
1788年イギリスの流刑植民地ニューサウスウェールズ誕生。
初期の開拓の中心はシドニー。
1823年ニューサウスウェールズが自治植民地に。
1829年オーストラリア全土の領有を宣言。
ニューサウスウェールズから分離したり、新たに設置された植民地が広がっていく。
ここで主要都市の位置を確認。
まず、シドニーが東海岸やや南より。
南東部のヴィクトリア州の中心がメルボルン。
この両都市の妥協の結果、後に首都は両者の中間にあるキャンベラに設けられる。
(カナダで、トロントとモントリオールの中間に人口規模の劣る首都のオタワがあるのとよく似てる。)
北東部はクイーンズランド州で中心は東海岸のちょうど真ん中くらいにあるブリスベン。
南オーストラリア州にはアデレードがあり、南西部にパース、北海岸の中間にはダーウィン、北東海岸沿いにはケアンズ。
1901年各植民地が合同してオーストラリア連邦結成、自治領となる。
連邦を結成して後、白豪主義を採用したというより、白豪主義を維持するために連邦を結成したという(半)独立の経緯は、上記『物語オーストラリアの歴史』にもある通り。
以後の日豪関係を扱った章は、特に書くことも無いのだが、一点だけ、オーストラリアが日英同盟に反対し続けたという記述が気になった。
岡崎久彦『幣原喜重郎とその時代』(PHP文庫)などでの記述では、ワシントン会議において、日米対立が日英同盟に連動して米英関係を悪化させることを懸念したカナダは日英同盟継続にに反対したが、アメリカよりも日本に地理的に近いオーストラリアは、イギリスとの同盟関係が日本の行動を抑止し予測可能にするという観点からむしろ同盟継続を支持したと書いてあった気がする。
たぶん、私の記憶違いでは無いはずだが・・・・・・。
簡単に読めるのは良い。
とりあえず、一番最初のオーストラリア史はこれでもいいんじゃないでしょうか。

